第17話
「弓術ができるっていう認識でいい?」
「うん。大丈夫。私これでも中学の時は弓道部だっただから!」
中学で弓道部?珍しくね?
中学にそんな部活があるのか。
まぁちょうどいい。
「【傲慢の権限:聖典:天窮穿つ大弓】」
僕はユニークスキルを使って過去の英雄が使っていたとされる大きな弓を召喚する。
「え!?これを使うの!?」
明日香は僕が渡した大弓を見て驚く。
「うん。命令ね」
「……わかった」
明日香はしぶしぶ頷く。
まぁ持つのもやっとの大弓を持たされても困るだろう。
しかし、このステータスの制度は割と雑なのでこれが一番の最善策なのだ。
力を多く使った戦いでレベルが上がると攻撃力が多く上昇し、多くのダメージを被弾した場合は防御力が多く上昇するというシステムになっている。
そこでなんだが、明日香が僕の横で重いものを持って力を多く使えば、トドメを明日香が指した場合レベルが上がったときに攻撃力が大きく上昇するのだ。
異世界の場合だと。
現実世界でも通用するのかはわからないが、まぁいけるでしょう!
僕の感がそう告げている。
「ほい」
「はい!」
明日香が僕の渡した瀕死のゴブリンを手際よく仕留める。
魔物狩りを始めてから約一時間。
狩った魔物の数は50を越え、明日香のレベルも5まで上がった。
「よし。じゃあ次は明日香が一人でやってもらおうか」
「え?」
「もうそろいけるでしょ。その弓だってちゃんと持てるでしょ?」
「まぁそうだね」
レベルが上がるまでは持つのがやっとだった大弓をひょいひょいと持っている。
「じゃあ、頑張って」
僕は右手に持っていた瀕死のゴブリンに回復魔法をかけ、全快にしてから明日香の方に投げる。
「ぎゃぎゃぎゃ!」
知能が限りなく低いゴブリンは目の前の生物である明日香に飛びかかる。
「あ、あ、あ」
実力的には圧勝できる相手、異世界だと子供ですら倒せるようなクソザコナメクジ。
だが明日香は体を震わせ、へたり込んでしまった。
トイレでのトラウマかな?
「あぁぁぁぁああああああああ!」
明日香は我を忘れて矢をつがえてもいないのに弦を引き、放つ。
普通の大弓なら当然何も起こらないだろう。
だがしかし、この大弓は英雄が使いし神器である。
普通の弓矢とはわけが違う。
矢を魔力で自動で生成し、ゴブリンの体をえぐり取った。
上半身は消滅し、下半身だけが残り倒れた。
ゴブリンは魔石を残し光の粒子となって消えた。
「へ?」
明日香は呆然と呟いた。
まぁその反応も納得だろう。
だが、そんなことより重要な出来事が起こっていた。
かすかに漂ってくる芳醇なアンモニア臭。
うん。初めて会ったときより健康的な尿だね。
「はい、パンツ。二回目だしためらいも少ないよね?」
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