第4話

「えっと、突如として起こった大地震の後すぐにさっきの化け物が現れて、街に現れて次々と人を襲いだして。それから一週間経った感じかな。私はコンビニでバイトしていたんだけどそこで店長にトイレに籠るように隠れるように言われて……それで……!」

 僕は助けたお嬢さんから話を聞いていた。

 どうやら僕は死んでから一週間後の未来に戻ってきてしまったらしい。

 お父さんとお母さんには心配をかけただろう。

 僕の死体がどうなったのかが気になるところだ。

 体が消滅するのかそれとも死体は残ってしまうのか。

 というか、地震。地震か僕が揚げ物をしていなければ多くの人を助けられていたってことか。

 別に僕が悪いわけではないが、申し訳なく感じる。

「話したくないなら話さないでいいよ」

「す、すみません」

 話したくないことを無理やり聞き出すのは紳士的じゃない。

「ちなみに一ついいだろうか?」

「あ、うん。大丈夫」

「これはここだけの話なのか?それとも世界的になんだろうか?」

「あ、世界的だったと思う」

 ……そっか。世界的なのか。

「でも、なんか強い化け物が出るところと出ないところがあるらしくて、日本だと一番ここら辺の魔物が多くて強いらしい。だから日本とかだとここ以外の地域なら化け物のほとんど倒しているらしくて、以前と変わらない生活に戻れたところもあるらしい」

「なるほど」

 そうなのか。それなら良かった。

「あ、あの。一つ聞いていい、かな?」

「えぇ」

「その、なんで木の枝?」

 お嬢さんは僕が手に持っている木の枝を指差して尋ねる。

 僕はさっきから襲いかかってくる魔物をこの木の枝で倒していたのだ。

「ん?これ?これは聖剣エクスカリバーだよ」

 僕はユニークスキル【聖剣】は発動する。

 神々しく光り輝く木の枝を掲げて見せる。

「おぉ!」

 お嬢さんは感嘆の声を上げる。

 え?木の枝で?

「あ、あっちのほうがいいかも」

 僕は今持っている木の枝を投げ捨て、今の木の枝よりも太くて長い立派な木の枝を拾う。

「聖剣エクスカリバァァァアアアアアア!」

 お嬢さんは叫び、大慌てで木の枝を拾いに行く。

 木の枝だよ?それ。

 もう一度言うよ。木の枝だよ?それ。

 お嬢さんはとてもとても面白い人かもしれない。

「ちょ、何捨ててるの!?」

「聖剣エクスカリバー!」

 僕はさっき拾った木の枝を光らせる。

「へ?」

 お嬢さんは目が点になる。

「聖剣は僕のスキルによるものだよ。僕のユニークスキル【聖剣】全ての物質を聖剣と同じ性質を持たせるというもの。だからそれはただの枝」

「え?」

 お嬢さんは自分が大事そうに持っている木の枝に視線を落とす。

「な、なにそれ。……恥ずかしいじゃん」

 お嬢さんはその場に木の枝を捨て、頬を赤らめた。

 やっぱりとてもとても面白い人かもしれない。

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