大ツ・バール帝国  パワードスーツ ガイファント設定 〜事件の起こる場所には、事件が起こるための原因がある〜

逢明日いずな

大ツ・バール帝国の歴史

第1話 大ツ・バール帝国とツ・バール国


 現在の大ツ・バール帝国は、建国当時の国名は、ツ・バール国として建国して、近隣諸国の住民に良い印象を与えている。


 現在はともかく、建国の父、ツ・エイワン・クインクオンの話は、建国の英雄として庶民の間で伝わる事が多い。


 立身出世の代名詞のような話になっている。




 帝国は、皇室のツ家と、その血縁関係に有る三大公家、ツワ家、ツヤ家、ツネ家によって、ツ・エイワン・クインクオンの血統を繋いでいる。


 ただ、ツワ家は、設立当時から、宰相家として引き継がれ、長子は、皇帝位は継ぐことは無い。


 他家の血統が切れそうになった時に、次男以降が婿養子になる事はあるが、代々の宰相家として受け継がれる家として引き継がれていた。




 約300年に渡ってツ・バール国として続いたのだが、先代の第20代国王ツ・エイデル・リョウリンの時代から、国王を皇帝とし、国名を、ツ・バール国から、大ツ・バール帝国に改名した時から変わり出した。




 この第20代皇帝ツ・エイデル・リョウリンは、宰相家であるツワ家の三男に生まれ、第19代国王の姉を正室に迎えていた。


 この第19代国王が結婚後、子供ができる事なく他界した為、王位が移ってきたのだ。


 また、他の大公家もツヤ家とツネ家も、後継者問題が発生しており、ツワ家から婿養子を迎えていた。


 その結果、皇室のツ家と、他の大公家に、ツワ家から婿養子を迎えて家を継がせる事になってしまった。


 皇室と三大公家がツワ家の人間が婿養子として継がれてしまうと、国名が、建国時のツ・バール国から、大ツ・バール帝国と名前を変更している。


 国名が変わった事と、ツ・バール国の4家が宰相家に独占された事を、周辺国では心配したが、第20代皇帝の時代は、国名の変更と国王を皇帝と呼ぶようになった程度で、何事もなく過ごされるが、第21代皇帝ツ・リンクン・エイクオンに代替わりすると、露骨に他国との婚姻を結ぶ事で関係を深めている。




 一般的には、皇帝の皇女となれば、正室として入る事を望むのだが、側室としてでも構わず嫁入りさせている。


 大量の穀物輸出国としての大ツ・バール帝国なので、対等な婚姻を望んでもおかしくは無いのだが、その強引な方法に、どの国も訝しむが、帝国からの穀物依存が強いため、断りきれずに受け入れている。




 それは、第20代皇帝の父である、第11代宰相のツワ・リンデル・リョウクンの弟が、大公家のツヤ家に婿入りし、家を継いだ事で、ツワ・リンデル・リョウクンの謀略が始まることになり、その思想を受け継いだ孫の第21代皇帝ツ・リンクン・エイクオンによって、他国への干渉の為に、娘達を政略結婚させている。




 帝国の建国前は、北の王国から南の王国に伸びる東街道が、東の森の脇を通る際に、その東の森から発生している魔物に苦慮していた。


 南の王国と結ぶ、この街道付近に現れる東の森の魔物のおかげで、一番近い東街道を隊商が通る際に魔物の被害に遭うので、大きく迂回をし、数カ所の国を越えての国交となったので、南の王国のギルドの商品の購入に関して、何箇所の国を経由しての輸入になるので、複数の国に関税を支払いつつ入荷する事に苦慮していた。




 それを北の王国に現れた、ツ・エイワン・クインクオンという青年が、名乗りを上げて、街道の利用の為、隊商の警備に乗り出す。


 その際、北の王国と南の王国を結ぶ東街道を、魔物から守って通行が出来るようにした暁には、東の森の西側の不毛地帯に、自分の国を作らせることを約束させる。


 北の王国は、その青年が、東の森の魔物を倒せるとは思えなかった事、戯言で成功するとも思っていなかったので、どの国も手をつけてない不毛地帯で、近くに強力な魔物の脅威のある場所ならばと、その成功報酬について約束する。




 青年だったクインクオンは、東の街道の魔物に敵うわけはないのだが、交易の為の隊商の警備を行い、魔物を遠ざかせる事ができた。


 それは、クインクオンの能力によるものが大きく、何らかの魔法によって、近づいてくる魔物を遠ざけてしまうのだった。




 クインクオンは、隊商の警備を受け持つことで東街道の確保を行うが、クインクオンが居なければ、魔物を追い払うことができないため、現在の帝国の北と南の関所付近に隊商の停留所が出来た。


 クインクオンは、その北と南を往復しており、クインクオンと一緒に進めば、魔物の被害に遭うことはなかったので、クインクオンが戻るまでの間に停留所に隊商は停泊して待っている。




 ただ、時々、警備費用をケチったり、時間的に待てないなどの理由でで単独で出発してしまった隊商は、全て東の森の魔物の餌食になっていたので、クインクオン無しで東街道は通行できないと言われるようになった。




 その噂が北の王国と南の王国で広がった事で、クインクオンの警備を頼んで、両国を移動する隊商の数は、どんどん膨れ上がり、それにより、クインクオンの警備隊のメンバーも徐々に増えてゆき、100人を超える警備隊になった。




 数年が過ぎて、街道通過の護衛をしてくれるクインクオンの警備隊が居て、彼らと一緒なら東街道は問題無く通れる。


 その人の名は、ツ・エイワン・クインクオンと言う。




 そんな噂が近隣諸国に伝わり、安定して東街道を行き来できるようになった頃、クインクオンも結婚し、二男一女をもうけていたのだが、隊商の警備に当たっていた際に、妻と長男と次男を魔物に襲われて亡くしている。


 命辛辛、逃げ帰った娘に、自分を逃すために3人が犠牲になった事を聞き悲しんだ。


 その後は、父娘2人だけの生活が始まる。

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