月の階段

私が眠っているとき

月の階段をみっこがおりてくる

4年前に旅立ったみっこ

私はみっこが大好きだ

最後にみっこに会ったのは

奥さんになる人と出会ってすぐ

はじめてのデートの直前

ひさびさに帰省した私は

みっこと一緒に寝た

私が実家から帰る前の夜

みっこは酔い潰れた私の体の上で

すやすやと眠っていたという

私はそれを覚えていない

母親から聞いてそれを知った

私が実家から出発するとき

みっこは押入れで横になっていた

また来るね、と言ったけど

みっこはなんとなく寂しそうだった

それからまもなくみっこは旅立った

16歳

みっこは我が家の太陽だった

やさしくかわいかったみっこ

いまでも写真が茶の間に飾ってある

みんなのアイドルだったみっこ

私が眠っているとき

みっこが月の階段をおりてくる

みっこは私が眠っているときだけ

私のそばにいてくれる

朝になる前にみっこは帰っていく

月の階段をのぼっていく

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