第10話 決闘!ターボとガイド
本当だなんて信じたくない。でも、この事実から目を背けることはできない…
「本気でいきます。覚悟してください。」
「あぁ、わかってるよ。」
「はぁぁぁ!」
案崎さんの戦闘スキルは伊達じゃない。まともに殴り合ったら負けるだけだ。だからいかにスキルを使うかが大切になる。
実は、〈ターボ レベル2〉と〈ターボ〉は似て非なるもので、前者はスローが使える代わりにターボの持続時間が半減する。それと、〈ターボ レベル2〉を使ったあとでも溜まっていれば〈ターボ〉は使うことができる。
「おららららぁ!」
「ふんふんふん!」
〈ターボ〉を使わずに攻撃してみたが、やはり通じない。〈ターボ〉は一度発動させたら10秒間強制的に継続される訳ではない。当たる、と思ったときに発動させてダメージを稼ぐ。それで行こう。
「はっはっ!」
「どうした…ふっ!〈ターボ〉が使えないんじゃそれが限界か!?」
「限界だろうとそうでなかろうとあんたには素の戦闘じゃ勝てねぇよ!」
「なら俺の勝ちだな!」
「ぶふぉっ」
「くらえぇ!」
案崎さんの攻撃が俺を襲う。危ない、もう少しダメージが蓄積されたら脱落していた。
ここからは俺のターンだ。案崎さんは俺がまだ〈ターボ〉を使えることを知らない。それが命取りよ!
「〈ターボ〉!」
「なっ!」
俺の蹴りが案崎さんを後方まで下がらせる。あとはこの限られた10秒という時間の中でありったけの蹴りをぶち込むのみ!
「お前、まだ使えたのかよっ!」
「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
俺はデタラメに攻撃を打ち込んだ。自分でもどこを蹴っているのか全くわからないくらいがむしゃらに。
5秒経ったあたりで案崎さんがバランスを崩した。俺もよろめき、後ろへ下がる。案崎さんはなんとかガードしていたため、ギリギリ脱落していなかった。
「お互い…瀕死…ですね。」
「全くそのとおりだな。次の攻撃が決まったほうが脱落になるだろう。」
〈ターボ〉が使えるのは残り5秒。〈ターボ〉が使えることを知られた以上、さっきのように不意を突くことはできない。なんとかうまく決めなきゃやられちまう。
「いくぞ…走太」
「…」
横でマグマが吹き出した。その瞬間俺達は最後の攻撃態勢に入る。
「〈ガイド〉!」
「〈ターボ〉!」
〈ガイド〉を使われているせいか、この速度でも攻撃が当たらない。でも、止めるわけにはいかない!
「これがぁ!俺の!最大出力だぁぁぁあ!」
「さすがの速さだな…避けるので…精一杯だっ!」
残り3秒…2秒…1秒…!
「これで終わりだ!案崎ぃぃ!」
「終わるのはそっちだぜ…走太ぁ!」
俺は最後の蹴りを、案崎さんは最後のパンチを放つ。
ボギャッ…という確かに攻撃が当たった感触がした。俺の蹴りが…当たった感触が。
スーッと巻き上げられた砂やらが舞い落ちた。目の前に人影が見える。このシルエットは…案崎さんか?あの攻撃を食らって平気なわけが!
「走太…?なんで立ってられるんだ!?確かに拳を入れたはずじゃ…」
「それはこっちのセリフですよ!なんで平然としてられるんですか!」
「それは俺の分身を攻撃したからですよ!」
この声…二身か?
「二身…分身って」
「妨害してきた野郎を倒して案崎先輩のとこに向かってたら後ろから走太先輩が走ってきて、声かけようとしたら先行っちゃって。だから必死に追いかけて来たんですよ!そしたら闘ってるからとっさに分身を出したんですよ!」
「そう…だったのか…」
「それより、事情を説明してもらいますよ!なんでこんなこt…」
突然、グラグラと地面が揺れる。
「タイミングわりぃ〜!ここはもう時期マグマに飲まれます!足場があるうちに一旦ここから離れますよ!」
俺達はよろよろと目の前にあるゲートをくぐる。その瞬間後ろで轟音がしたが、そんなことは関係ない。今は案崎さんに詳しい説明をしてほしい。それだけだ。
そして俺達は、フィフスゾーンへと続くゲートをくぐった。
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