第26話
☆☆☆
たどり着いた場所は誰もいない工事現場だった。
気絶している少女の手足を落ちていたロープでくくりつける。
その間に少女が目を覚ましてしまったけれど、民家は遠くてその声は誰にも聞こえない。
「だ、誰ですかあなた!?」
真っ青になって叫ぶ少女に返事をせず、私はその顔をまじまじと見つめた。
整った顔の中でも一番可愛いのは唇かな。
プックリとしていて潤いもある。
「あなたの唇、とても綺麗ね」
思わずそう口にしていた。
瞬間、少女がビクリと体を震わせる。
私は近くに落ちていた工具を握り締めて戻ってきた。
この唇を私につければ、きっと綺麗になれるはず。
そのためには少しの犠牲はつきものよ。
私は少女に近づいて、その唇を切り取った。
少女は悲鳴を上げ、暴れ、もだえ苦しんだ。
その間は少しかわいそうだと思ったけれど、唇を切り取った後はもう夢中だった。
私はそれを自分の唇と付け替えたのだ。
自分の唇を切り取る作業は簡単だった。
暴れないし、絶叫もしない。
ただ痛みを我慢すればそれでよかった。
そして、少女の唇をぬいつけた。
これで完璧だ。
私は綺麗になった。
誰にも笑われない顔になれたんだ。
その後、私は少女を殺害して近くの山に埋めた。
工事現場を選んだことで必要な道具はすべて手に入った。
そして、その日からテスターは生まれたのだった。
学校には交通事故に遭ったためしばらく入院すると伝えた。
両親には泊り込みの仕事があると嘘をついた。
その嘘もそろそろ限界かもしれないと思っていたところだった……。
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