第2話 たったひとりの盗賊



 今までずっと 一人で生きてきた

 誰の力も借りないで そうしてやれてきていた


 でも 守るべきものがあったから

 それは例外で

 ほんの少しの甘さを 切り捨てられずに


 この世界は 力のないものは踏みつぶされる

 たくましい野原の雑草だって

 大きな動物の力には勝てない


 背中を刺してくるような仲間なんか

 いらない


 身軽な一人のままで

 一番大切なものだけを抱えて生きていく


 珍しい生き方なんかじゃない…と

 その言葉に 安心しながら



「ストーリー」

 彼女は誰の事も頼らず、一人で生きてきた。

 彼女が信用できるのは、生まれ育った孤児院の子供達や育て親だけ。

 だから、仲間であるはずの者の闇を、孤独を見抜けなかった。

 その結果、彼女は一番大切な人を、たった独りで死なせてしまったのだった。


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