第25話
「はぁ!」
「せい!」
「やぁ!」
「そんなに肩に力入れなくていいよ?」
僕は最も筋が良かった三人の剣をさばきながらアドバイスを出す。
僕の存在が公になり、僕が戦っているところを見た人が増えた結果、戦い方を教えてほしいと懇願してきた人が出てきたのだ。
断る理由がなかったので、適当に教えていっていたらどんどん教えてほしいという人が増えていった。
いつしか僕は何十人という弟子を抱えるようになっていた。
ちなみに全員本物の刀を持たせている。
やっぱ刀は男のロマンだよね。
「じゃあ行くよ?」
僕は一人を足払いして転ばせ、無防備になったその首に刺突を加えて倒す。
一人が呆気なく倒され一瞬止まったもうひとりを一撃で気絶させ、最後の一人は普通にゴリ押した。
「まだまだね」
僕は持っていた竹刀を肩に乗せる。
僕だけは竹刀を使っている。
彼らの攻撃は僕に当たらないからいいけど、彼らは僕の攻撃を避けられないからね。
「じゃあね。各自頑張ってー」
僕は気絶している三人を隅へと寝かせた後、武道場から出る。
『はい!』
武道場内で必死に素振りをしていた皆が声を揃えて返事した。
んー、僕教えるの苦手なんだよなー。どうしたものか。
僕はテクテクと改装したゴブリンの巣を歩き、もう一つの武道場の中に入る。
中に入ると同時に一気に僕の鼻孔に広がってくる至福の香り。
男どものむさ苦しい汗の匂いではなく、女の子の至福の汗の匂いだ。
鼻孔をくすぐる男とは違う臭い匂いが最高である。
汗対策のものなんて現状ないから、気持ち悪く汚された匂いではない、女の子の素の匂いである。
はぁー、良き。
刀を振り下ろしたことによってぷるんと揺れる豊かな胸も、揺れない慎ましい胸も、その全てが愛おしい。
彼女たちが着ている服は、靴下は、パンツは、どんな匂いなのだろうか。
はぁー。
最高である。
男と女の武道場を分けてよかった。
「やってる?」
「はい!」
扉の近くで素振りをしていた女の子が僕の近くに駆け寄ってきてくれる。
一気に膨れ上がる汗の匂い。
はぁー。良き。
この子の名前は三上 桜。
僕が通っていた学校のクラスメートの一人である。
元々家が武家で剣道場だったらしく、実に剣筋がきれいで今僕が教えている中で最も強い子だ。
僕がこの子にしてあげているのは、実戦じゃ使えないお飾りの剣を本物の剣へと変えることくらい。
「じゃあ今日も試合しようか」
「はい!」
桜の表情が真面目なものとなり、剣を構える
僕は毎日の日課となった至福の桜との模擬戦を始めた。
汗の匂いが、揺れる胸が、最高なんじゃ。
あ!桜の汗が僕の口に入った!
ふぉぉぉおおおおおおお!
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