第3話 部活の存亡の危機!
工具を取りに行った恭介は何やら大きなハンマーをもって帰ってきた。そして、大きく振り上げたかと思うとホッケー台に向かって振り下ろした。
「バキッ」
そう大きな鈍い音を立ててホッケー台は崩れていった。
「な!上手くいったろ!」
「“な!”じゃないよ!こんな大きな音を出して近くにいる先生が来たらどうすんだよ?」
「大丈夫。こんな学校の隅にあるような部室には誰も来ないだろ!」
そういいながら、恭介はハンマーを振り回していく。ホッケー台はあっという間に無惨にも粉々になってしまった。
確かに僕たちの部室はあまり人が来ないような学校の隅にプレハブ小屋として立っている。どうやら、もともとはもっと便利なところにあったらしいが数年前、先輩たちが爆発事件を起こしてい待ったことによりこのような感じになってしまったらしい…にしても、相当大きな音が出ていたはずなのに本当に誰も来ないもんだなそう思いながらホッケー台の残骸をかたずけようとすると
「まったく…、あんたたちは何してんのよ!」
そういいながら生徒会の執行部の涼川 令が入ってきた。
「げ!」
「“げ!”じゃないわよ!それよりもあなたたちの部、来月までに結果を残さないと廃部になるかもしれないわよ。」
彼女の所属している生徒会の執行部の仕事は各委員会や部活動がきちんと活動しているか調べ実績を残さない委員会や部をやめさせていくというもの。つまり、彼女はきちんと活動もしていないし実績も残していない僕たちにとっては宿敵であるのだが、彼女は僕たちともともと仲の良いこともあって、このように時々有益な情報をくれて僕たちを助けてくれる。
「廃部になるかもっていうのはどうして?」
「あなたたちもこの学校の志願者が毎年少しずつ減っているのは知っているわよね。その関係で今回経費削減のために実績の残していない部は廃部させようという話が出ていて、今年はいつもよりも厳しく調査が行われるらしいの。だから、あんたたちが何らかの実績を残すことができなければ、残念ながらこの部は存続できなくなるわね。」
「そんな!そんなこと言ったってこの1ヶ月で実績を残すなんて無理に決まってるよ!」
「そうだぞ!何か方法を考えろよ!」
「まったく、あんたたちは偉そうに…。仕方ないわね!今度、近くで科学の大会があるの。それにでも参加してみたらいいんじゃない?一応参加したという実績を作るだけでもましだと思うわよ。」
「それってどんな大会なの?」
「一応科学のプレゼン大会になっているわ…。ただ、発表するだけじゃなくてユニークな発想が求められるみたい。」
「たとえば?」
「去年は確か「人が空を飛ぶ方法を考える。」っていう発表が金賞を受賞していたわね。」
「なんだかユーチューバーみたいな発表だな。」
そういって苦笑しながら恭介はまっすぐ僕の方を見ながら言った。
「じゃあ、企画は頼んだぞ!」
「頼んだぞ!じゃないでしょ?!大体こういうのはみんなで考えた方がいいに…」
「悪いな!急に用を思い出したから今日はもうかえるわ!」
そういいながら恭介は走り去ってしまった。
「ま、まあ、とにかく頑張りなさい。この部活の存続はこの大会にかかっているんだから。」
そういって苦笑しながら令も申し訳なさそうに帰って行ってしまった。
あー、もうみんな自分勝手だな!もういいよ残った人で何とかするしかないな。そう思いながら、僕は隆がまだこの教室にいたことを思い出した。
「なあ、隆!お前だけは 俺に力を貸してくれるよな。」
すがるような眼で見つめた時、隆はもうすでに部室の外に向かって走り出してしまっていた。
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