☆勇者の試み
「あぶなかった!」
魔王から放たれた風魔法ハリケーンーー竜巻攻撃に火が加わり、ミオは絶対絶命のピンチに陥ったはずだった。
けれども最強の召喚勇者である彼女はバリアではなく、シールドを作りどうにか凌ぐ。
仲間のことも考えたため、広範囲になったために炎の影響を受け、鎧で覆われていない部分が幾分火に当てられ、ヒリヒリと痛みが走った。
「勇者様、私たちに構わず魔王を倒してください」
「勇者様、この最強の魔法使い、シルダの名にかけて守りを固めますので」
(っていうか、あんたが守るのは王女(ソフィア)と自分だけだろうが)
ちらりと戦士タルカンを見ると、何やら首を横に振っている。
(本当、さっきもシールドを全開にしなきゃ、絶対タルカン死んでと思うし)
異世界、もしかして某サイトで流行りのゲームの世界の中に転移してしまったかもしれないが、仲間として一緒に旅を続けているうちに情が沸いてきている。
(タルカンは守らないと。でも防御だけじゃどうにもならない。やっぱり攻撃?)
ミオは、髑髏の仮面の魔王を睨む。
(絶対日本人だよね。しかも若いと思う。声からして、ちょっと子供っぽそうだし)
魔王は何を考えているのか、最後の攻撃魔法から微動すらしない。
「勇者様、今です。今攻撃を仕掛ければ」
背後のタルカンが叫ぶ。
(魔王って言っても、日本人だよね。殺すっていうはちょっと。話せば解決するかもしれないし。ほら、日本に一緒に戻るとか)
「勇者様!」
(うるさいなあ。とりあえず近くによって話してみるかな)
ミオは攻撃を仕掛けるふりをして、剣を携えたまま、魔王に向かって駆け出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます