異世界ってこんなに大変だとは思わなかったよ・・・
天之狭霧
第1話 異世界に行く事になりました。
異世界ってこんなに大変だとは思わなかったよ・・・
や、やっと帰れる、、、
長かった、異世界生活34年、
魔王を倒すのに34年も掛かってしまいました。
皆様初めまして、
伊勢 界治(イセ カイジ) 49歳です。
いま私は光る魔法陣の中心で、地球に転移されるのを待っている所です。
親切にもこの世界に来た時の年齢に若返って、
来た時と同じ時間での地球に戻してくれるようなので助かりました。
49歳で地球に戻ったら働き口なんか無いから悲惨な老後を迎えちゃうよ。
あれ?色々考えていたら走馬灯のように過去の事が思い返せるのですが、
ちゃんと地球に返してくれるんだろうか?
このまま存在抹消って事は無いですよね??
(この世界の管理者(神様?)さんの魔法陣なので大丈夫だと思いたい。。。)
思い起こせば34年前
高校1年生になったばかりの15歳、
陰キャではないけれど、
インドア派、ラノベ好き、ゲーム好きと言う事もあり、
同じような趣味の友人が何人か出来て、
楽しい高校生活がスタートして1カ月ほど経ったある日、
事故にあったわけでもなく、飛び降りたわけでもないのに、
寝ていたら白い空間にいて、
異世界チキューリーの管理者さんに会いました。
「あれ?ここどこ? 俺、部屋で寝ていたよね」
周りを見渡しても何も無い、白一色の空間に横になっている俺がいる。
「私が管理している世界、チキューリーにようこそ」
えっ、なっ、何だ? どこから声が聞こえた?
急いで起き上がって周りを見渡しても誰もいない、
声だけが聞こえてきた。
「誰かいるんですか?」
「私はチキューリーを管理している管理者です。貴方はこれからチキューリーに行って魔王の討伐と言う仕事をしてもらいます。」
えっ、チキューリー? 地球じゃなくて?
それに魔王の討伐って何?
もしかしてこれってラノベ王道の異世界転移って事か!
「えっと、チキューリーって地球の事じゃなくてですか?」
「はい、チキューリーと地球はまったく別の世界にある星になります。」
おおっ、やはり異世界転移か?
「これってラノベに良くある異世界転移ってやつですよね?」
「ラノベとは何なのか良く分かりませんが、異世界に行ってもらう事は間違いありません。」
よっしゃー! きたきたきたー!! これからは俺の時代だ!!!
勇者、チート、ハーレムだ!!!
よし、落ち着け俺!
どんなチートを貰えるのか良く話を聞かないとな、
話を聞かなくて詰むなんて間抜けな事にはなりたく無いからな。
「異世界に行くのは分かりましたが、行くにあたって何か能力は頂けたりするのでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「これから行って頂くチキューリーは地球と違い、科学技術はあまり発達していません。」
「その代わり魔法が使え、よく言う剣と魔法の世界になります。」
やったぜ! 剣と魔法の世界!!
チート貰って無双してやるぜ!!!
落ち着け俺、焦るな俺、冷静に話を聞いて最強の能力を貰うぞ!!
「剣と魔法の世界ですね、それでどのような能力が貰えるのですか?」
「お渡しできるのは才能と言う物になります」
「才能ですか?」
才能って何だ? 能力と違うのか?
「才能とは、誰しもが持ってはいるが、その才能にあった努力をしなければ結果として現れる事のない力になります。」
「えっと、具体的に言いますとどのような事なのでしょうか?」
「そうですね、地球での具体例で言いますと。」
「スポーツで最高ランクの成績を出している人が、怪我や病気でそのスポーツを数年間出来なくなったのに、復帰すると瞬く間に最高ランクに返り咲くと言う事がありませんか?」
「あっ、あります!」
たしかにあるよな、水泳とかで聞いた事があるし、他の競技でもあったはず。
「それが才能です、才能をもった物がその才能に合った努力をする事により、才能が無い物の何倍もの結果が得られます。」
おおー、でも才能って見えないよな、どうやって才能を持ってるか判別するんだ?
「才能を持っているかどうかってどうやって判別するのですか?」
「才能を判別する方法はありません。自分自身で様々な事を行ない、何が自分に合っているか自ら探し、探した物に対して努力する事によって結果として現れます。」
ちょっとまて、どんな才能を自分が持っているのかが分からなければ、才能の無い分野に努力し続ける事って大いにあり得るよな?
「えっと、それですと、才能が無いのに努力をし続け、結果がいつまで経っても出てこないって事になりませんか?」
「殆どの才能が結果を出せずに終わる事が多いですね」
まじですか!? 結果が出せずに終わる事が多いって簡単に言ってるけどそれでいいのか?
いいのか?チキューリー全体の管理者って立場からすると、個々の才能の状況なんて気にするものじゃないのか?
たしかにどこかのラノベにも、神とかの上位者は人の営みなんかどうでも良いってあったよな。
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