失恋拗症
雨野瀧
第1話
「これは、鬱ですか。」
路地裏にあるメンタルヘルスバーというところを、お客の紳士が訪ねました。
「いいえ、鬱ではないでしょう。しかし
注文に応え真っ赤なワインを空けながら、マスターはにこにこして答えました。
今日は、九月の終わり。
暑すぎた夏もいつのまにか死んだようです。女性客は、この時期しか使い道のない七分袖のブラウスを着ていました。
「へぇ、失恋拗症てのは、こんなに煩わしいものですか。」
「最近の若者に多いのです。昨日も似たような悩みを抱えた女の子が来ましたよ。よほど思いつめていたのでしょう」
鳩時計が19時を知らせるように鳴りました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます