第21話
3人はとりあえず、一番近いということで忍者屋敷に向かった。
アーチェリーみたいなものと手裏剣投げが設置されていて、厨二心が燻ぶられそうな内装になっている。
「やるなら…手裏剣一択だよね。」
「そうね、それじゃぁ…ミーちゃんからいきましょうか。」
アキに肩を押されながらのいきなりのフリに困惑したミナトだが、彼女の前に立つようにオオダが立った。
店員にお金を渡し手裏剣を受け取る。
「まぁ、ここはウチでしょ。」
右肩をグルグルと回した後に嬉々として的に向かって手裏剣を投げる。
オオダが投げた手裏剣は中心からズレて的に刺さった。
子供もやるものだからそんなに刺さらないと思っていたミナトは少し驚いた表情になる。
「むむ、思ったより難しいな。」
ペロりと唇を舐めたオオダ。
結局は全部外れてミナトと後退するために場所を移動した。
「オオダドンにしては珍しいねぇ。」
ニヤニヤとオオダを見たミナトは、店員にお金を渡して手裏剣を受け取る。
しかし思ったより重たかったようで少しガクッと膝を曲げた。
「え、思ったより本格的ってゆーか本物の鉄?」
「なかなかの重量でしょ?
ウチもびっくりだったよ。」
豪快に笑うオオダを他所にミナトはチラリと店員を見るが店員はニコニコしていて何も言わない。
重さは、当時つかっていたであろう手裏剣と同じか近い重さを意識しているのだろう。
まぁ、この重さだ。
本物の鉄だろうが偽物だろうが当たれば怪我するから周りに気を付けなければ。
ミナトが投げた手裏剣は的から外れてポトポトと土の地面に刺さるように落ちていったが最後の一枚だけ後ろにある壁に突き刺さりドスッと重たい音が辺りに響く。
やり過ぎたか?
恐る恐るミナトは、店員をみたが日常茶飯事なようでニコニコしていた。
「惜しかったですね。
力加減はそのままで、もう少し左に向けていれば的に当たりましたよ。」
アドバイスが的確…!
役者志望は手裏剣の練習も含まれているのだろか。
因みに先ほどの手裏剣の様子でビビったのかアキは手裏剣投げはやらなかった。
次は、長屋を再現した場所で中は結構入り組んでいてまるで迷路の様だ。
長屋の中には住居の他にも衣服やなどがありこれが商店街の基盤になっているのだろうなー等とミナトが思っていると中にいる人形が妙に生々しさがありまるで日本人形のよう何となく厠とか直視できなかった。
特別怖いと言うわけではなく、その時代にいたような感覚だ。
長屋の再現をみた後は、忍者屋敷。
からくりが施されていてちょっとした脱出ゲームのようだった。
鏡を使った錯覚も使われているらしく、気分が悪くなったら係員を呼ぶようにと説明書きに記載されていた。
「2人共知ってた?
鏡の錯覚って頭が良い程起こりやすいんだって。」
「なら、私は安心だね。
ミラールームみたいじゃないといいけど。」
意地悪な笑みを浮かべるアキに、ミナトは気の抜けた感じで返答をした。
ミラールームで何度も衝突したのは良い思い出。
しかしオオダの表情は暗い。
「じゃあ、ウチは?」
オオダは言動はおバカだが、頭は良い。
アキの話が本当であれが方向感覚が狂う人種だろう。
しかし彼女は方向音痴。
更に方向感覚が狂うのか?
「行ってみて本当にダメそうなら、脱出すればいいんでね?」
「それが無難かしら…。
それにもしかしたら、これを機に方向音痴が治るかもね。」
マイナス×マイナスはプラス。
多少の可能性があるのは数学が証明している。
「よし、いっちょ…攻略してみますか。」
フンスと息を吐きだして右手に可愛らしい力こぶのような物を作るとスタスタと屋敷に前進していく。
どうして方向音痴を自覚している人は、率先して先頭に立とうとするのだろう…。
「まってオーちゃん、迷子になるわよ。」
まるで保護者のようにオオダの後をついていくアキ。
脱出ゲームのような所で迷子にならないだろうに。
ミナトは、やれやれと言った様子で2人の後をついていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます