僕にだけ塩対応の幼なじみ、おっぱいでデレてくる
白銀アクア
第1部
第1章 呪いとはいったい……?
第1話 塩対応の幼なじみと、おっぱいの声
「じゃあ、
「そらちゃん、ファイトだよ~」
幼なじみの
双空の友だちは右を向く。
一泊遅れて、制服のブレザーを持ち上げる膨らみが、たゆんたゆん。
(すげぇ、Fカップ、いや、Gあるかも?)
想像していたら。
「翔、今日、129回目のチラ見。ホントに、おっぱい好きね」
「
「…………
双空は淡々と、僕、
毎日なので、慣れてはいるのだが。
「おっぱい。あらゆる哺乳類にとって、おっぱいあってこその人生。つまり、おっぱいは人生。おっぱい好きでなにが悪い?」
珍しく、反論してしまった。
だって。
今日は、11月8日。いいおっぱいの日。多くのイラストレーターさんがトリッターにおっぱいイラストを投稿する素晴らしい日である。
(おっぱいを祝福する日に、絶許!)
「双空、今日こそは決着をつけようか」
学校からの帰り道。ちょうど神社の脇を通りがかっていた。
繁華街から10分も離れていないわりに、静かな場所だ。
神社なら、人目を気にせず、戦える。
「ん。あたしを倒そうなんて、ムダ、ムダ、ムダ」
双空は挑発するようなセリフなのに、完全に一本調子だった。いかにも、僕に興味なさそう。
友だちと話すときとテンションがちがいすぎる。
僕はため息を吐きながら、歩く。
神社は軽い丘になっていた。木々の密度は濃く、とても都会とは思えない。
秋の夕風が木の葉を揺らす。天然のASMRだ。
景色と音だけでなく、空気まで森にいるかのよう。
世界から隔絶された感じさえする。
パワースポットなのも、うなずける。
やがて、本堂に着く。
なぜか、大根がお供えしてあった。
『大根は育乳に良い食べ物なのじゃ。さらには、母乳の出や質も良くなるんじゃぞ』
「へぇ、双空、物知りなんだな」
「へっ、なにが」
双空は首をかしげる。
塩対応というより、本当に心当たりがないみたいだ。
「大根がおっぱいに良い食べ物って、教えてくれたんじゃないの?」
「また、おっぱい………………○んじゃえば」
塩対応で確定した。僕に大根ネタを教えてくれたのは、双空じゃないことが。
よく考えたら、言葉遣いも「のじゃ」だったし、声もちがう。
辺りを見回しても、僕たち以外に誰もいない。謎すぎる。
「そんなことより、あたし、呪うから」
「呪う?」
「翔がおっぱいと結婚するように」
「なっ」
幼なじみは眉一つ動かさずに怖いことを言う。
銀髪が風になびく。整った顔立ちと、白銀の髪。無表情なのもあり、クールな雰囲気がある。
瞳が明るい琥珀色でなければ、近寄りがたい美少女だったかもしれない。瞳のおかげで、学校では普通に友だちがいる。僕にだけ塩対応だけど。
「ふーん、僕、おっぱい好きだし。別に、困んないけど?」
僕も負けるつもりはない。
「今日こそは、おっぱいの正義を認めさせてやる!」
「変態、○ね」
互いの主張をしながら、僕と双空は同時に礼をする。
二礼二拍後に、頭を下げた。
(双空が昔みたいになってくれたらなぁ)
双空との付き合いは13年近くになる。
実は、小学生の頃、双空はエロかった。抱きついてきたり、頬にキスしてきたり。性知識も豊富。特に、おっぱいへの執着はハンパなかった。
なのに、小4のときに、エロを封印する。
さらには、僕だけに塩対応をするようになった。
以来、高1の秋になる今日まで、幼なじみは塩は垂れ流している。
(双空さん、マジで小学生に戻ってくれませんかね?)
当時のキャラで、今の見た目ならベスト。
顔は美少女だし、胸は推定Eカップ。あわよくば、揉ませてくれるまである。最高すぐる。
そんなことを願いながら、頭を上げる。
「翔、まだ、戦いは終わってない」
「僕も負けない」
過去を思い出していたら、やる気が出てきた。
「双空、おまえにおっぱいの素晴らしさをわからせてみせる!」
「だから、おっぱいと結婚すれば」
また、話が戻ったと思ったときだ――。
『蜜柑には負けるけど、あたしEカップだよ。翔、巨乳好きだけど、Eなら合格だよね? あたし、大空双空は翔が満足する、おっぱいを手に入れてみせる! 翔、だーいすき❤』
「へっ?」
間の抜けた声が漏れる。
(空耳だよな?)
塩対応の幼なじみが、僕にデレるなんて、ありえないし。
『パイオツを愛する、我が信者よ』
変な声が聞こえた。
脳に直接語りかけてくる感じだった。
『我は乳を統べる神、
「乳神?」
『うむ、そうじゃ』
「あっ、のじゃ言葉は大根ネタを教えてくれた?」
「うむ、我じゃ」
脳内に響く声と会話をしていたら。
「翔、おっぱいが好きすぎて、変になったの?」
『翔、どうしちゃったの? あたしのせい? あたしのせいだよね。あたしの
またしても、双空が変なことを言う声が聞こえた。
『うむうむ、ばっちり聞こえているようじゃな』
乳神と名乗る声がふたたび聞こえた。
「どういうこと?」
『我はそなたに呪いをかけた』
「呪い?」
『うむ。小山翔。そなたは双空嬢のおっぱいの声が聞こえるのじゃ』
「おっぱいの声って……………………なんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっ!」
つい、叫んでしまった。
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