イライラを頭にのさばらせながら朝食の席に着く。対面の席ではスマートフォンを握りながら不機嫌そうにパンをかじる娘がいた。


 高校生になった年頃の娘、これも俺にとってはイライラの種だった。何かあればすぐにスマートフォン、勉強や何かに打ち込む事もなくダラダラ過ごしているようにしか見えない。


 昨晩のイライラも後押しする形で娘に対するイライラを一気にぶつける。思春期の娘だ、何かと大変な事でもあるのだろう。そう思うと八つ当たりではないかと感じる気持ちもあったが、あえてその気持ちに蓋をした。


 娘も顔を紅潮させながら言い返してくる。俺はそれを遮り、朝食の途中だが立ち上がり家を出た。気持ちはまだまだ治らなかった。


 外へ出て会社へ向かう途中、脇道にある雑木林に足を踏み入れ頭一杯に膨張しているイライラを吐き出すかのように大声を出した。


「バカヤロー!!」


 すると空から一筋の光が差し込み、その言葉を吸いとっていった。


 俺は穏やかな気持ちになり、雑木林を抜け出した。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る