迷宮都市の魔法使い

たらも

第1話

私は16歳に成った。

身長は150センチにちょっとだけ届かなかったけど、チビじゃない。

違う筈だ。

まだ伸びる。

お姉ちゃんは165センチのモデル体型だから、きっと私もこれから成長すると信じてる。


私の村は貧しい。

子供の頃は畑を手伝い、成人したら家を出る。

結婚するか、外で働くかだ。

うちの村は16歳で成人なので、私は成人した。

結婚する気は、まだ無い。

少なくても、村の男の子達はガサツで嫌だ。


二つ上のお姉ちゃんもそう言って街に出た。

こないだ、お土産を持って里帰りしたお姉ちゃんから、情報は仕入れている。

私も街に行って冒険者になるんだ。

お金もいっぱい稼げて、上手くいけば貴族にもなれるらしい。

夢のような仕事だそうだ。


お姉ちゃんは才能があったらしい。

僧侶としてパーティで活躍してるって言ってた。

私は何になろう!

そんな旨い話を聞いたので、私はこれから街に行って冒険者になるんだ。


僅かに渡さられたお金と着替えを持って、布の袋ひとつで街へ向かった。


親が渡してくれたお金を見る。

銅貨が20枚入ってた。

ありえない。

頑張ってくれてるんだけど、街なら二泊したら無くなりそう。

馬車なんて使ってる場合じゃない。

歩こう。

朝暗いうちから家を出て歩く。

春で良かった。

とりあえず暑さで倒れる事は無い。


途中の小川で水を飲む。

お腹空いた。

ちょっと脇道に逸れる。

原っぱを探すと、野苺を見つけた。

超酸っぱいけど、あるだけ食べた。

よし、まだいける。


昼に街に着いた。

お金は少ない。

直ぐに行動開始だ。

聞いていた通り、街の入り口近くの集会所みたいな建物。

冒険者ギルドだ。

真っ直ぐ進む。

中にはいろんな年代の人がいる。

自分のようなお上りさんから、ベテランそうなナイスミドルまで。


お上りさん組はキョロキョロと周りを見てるし、ベテラン組は掲示板を食い入るように見てる。

女は度胸。

お金も無いし。

とっとと登録だ。


カウンターに進み言い放つ。


「冒険者になりたいんです!」


職員さんは、愛想の良いおじ様だ。


「今日は多いね。字は書けるかな? 名前とか書いて貰うんだけど」


「書けません!」


私は胸を張った。

字なんて書けるのはお金持ちとか貴族とか商人くらいだろう。

周りの人も書けないだろうから、恥ずかしがる事はないって思ったの。


「じゃあ、代筆するから。名前から教えてくれるかな?」


「ルミです! 16歳」


登録出来るのは15歳からだからオッケーだろう。


「職業はどうするのかな?」


考えてなかった。


「ここに初心者でもなれる職業リストがあるから、選んで」


戦士、剣士、武闘家、盗賊、僧侶、魔術士。


魔法カッコイイ。


「魔術士で」


ノータイムで答えた。

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