第16話

そう言うと、おばあさんはおばけのたまごをポケットに入れてから、フワリと浮かび上がりました。

驚いたのは、なおちゃんたちです。

ええーっ、おばあさんが空を飛んでる!

おばあさんって、一体何者なんですか?

おばあさんは、にっこり笑うと言いました。

細かいことはいいだろう。今は一刻も早く城に着く方が先だよ。

あとで教えてあげるから、今は邪魔しないどくれ。

そう言うと、おばあさんは空高く舞い上がり、どんどんスピードが早くなっていきます!

おばあさんがしばらく飛んでいると、前方にまっ黒い雲が見えてきました。

ところどころで、稲光が見えます。

おばあさんは、ふわりと下に降りました。

地上は嵐が吹き荒れています。

何よりも恐ろしいのは、城があるはずのところに深い深い穴が開いていて、そこに向かって風が吸いこまれていることです。

なおちゃんたちは、青くなりました。

どうすれば、この風を越えられるのかしら。

おばあさんが言いました。

ちょっと待ってな。王様に喝を入れるから。

そう言うと、おばあさんは声を張り上げました。

王よ、いい加減におし。もう十分悲しんだろう。

そろそろ、自分のために時を進めてもいい頃だよ。

するとお城を覆う風が少し弱まりました。

でも、風を越えて、おばけのたまごをお城に届かせるには、不十分です。

おばあさんは、ため息をつきました。

そして両手を高くあげると、呪文を唱えました。

すると、どうでしょう。おばあさんが強い光に包まれたではありませんか。

光が薄れると、そこには背の高い、美しい女の人が立っていました。

兄上、私です。ローチェです。

お城から、初めて反応がありました。

ローチェ、本当にローチェなのか?

はい、私です。このとおり無事ですわ。

いや、そんなはずはない。誰か、我を謀っているのではないのか?

またお城の周りに風が吹き始めました?

ローチェは苛立ったように言いました。

兄上、どうすれば信じていただけるのですか?

この服を脱いで、醜い傷痕を見せればよろしいのですか?

わかった。そこまでせんでもよい。

またお城の周りの風が弱まっていきます。

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