第15話

なおちゃん、なおちゃん、という声で目を開けると、そこにはヨシオ君の顔がありました。

すっかり大きくなっていますが、懐かしい面影があります。

なおちゃんは嬉しくなって、思わずヨシオ君に抱きつきました。

そんななおちゃんにヨシオ君もほほを染めながら、久しぶりと言ってなおちゃんを抱きしめました。

なおちゃんはあたりを見回しながら、これがたまごの中なの?と言いました。

周りには、何もない白い空間が広がっています。

すると、おばあさんの声で、

お二人さん、お楽しみのところ悪いんだけど、あまり時間がないから、そろそろ行かないとね。

なおちゃんたちは、あわてて離れました。

おばあさん、おばけの王様を止めるって、どうすればいいの?

何、簡単なことさ。

城にできるだけ近づいて、おばけのたまごを城に向かって投げ込む。

城に着いたら、おまえさんたちは王様を説得して、正気に戻す。

これだけのことさ。

そんなぁ。説得って言ったって、どうすればいいんですか?

あたしが城にできるだけ近づいていおまえさんたちを投げ込んてやるから、安心しな。

王様に会ったら、さっきみたいにベタベタしてみせて、人間も捨てたもんじゃないってところを見せておやり。

おばあさんは、笑いを含んだ声で言いました。

目の前でキスでもすれば、やっこさんもびっくりして正気に戻るかもしれないよ。

冗談はともかく、今の世の中も捨てたもんじゃないって、王様に納得させることができれば、いいんだよ。

おばあさん、そんなこと言ったって、たまごから出られないんでしょう?

王様の前に行ければ、少なくともたまごは透明になるよ。

ヨシオ君、なおちゃんを頼んだよ。

さてと、それじゃあ行くとするかね。

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