第11話
灰色の霧が立ちこめた中に、直径100mはありそうな木が混ざって、見渡す限り生えている。
地上は巨木の根が一面にうねりくねって、足の踏み場もない。
見上げると、木があんまり高過ぎて、てっぺんなんぞ見えやしない。
それでも、おばけたちは飛べたので、てっぺんめがけて飛んで行った。
どんどん、どんどん高く飛び上がっても、てっぺんは見えてこない。
地面が霞んで見えなくなっても、まだつかない。
いい加減うんざりした頃、不意に空が見えた。
おばけたちは勢いよく飛び上がったので、ずいぶんと高くまで飛び上がってしまった。
それであわてて下を見ると、目に入ったのは、見渡す限り真っ平らという、異様な光景だった。
よく見ると、大小さまざまな平たいパネルのようなものが、不規則に並んでいた。
一番大きなものは直径100mくらいあったから、おばけたちはやっとそのパネルが、巨木のてっぺんだと気がついた。
巨木のてっぺんは、まるで誰かが同じ高さに切り揃えたみたいに見えた。
それだけじゃない。
巨大な筒の中には、緑の枝葉が生い茂っていて、その上をガラスのように透明で分厚い蓋が覆っていたんだ。
そんな巨木が同じ高さで並んでいるから、真っ平らに見えたのさ。
おばけたちは、
これなら、太陽の光は平等に行き渡りそうだなと、
驚き呆れるとともに、感心もしたんだよ。
おばけたちは、巨木のてっぺんにおそるおそる降りてみた。
透明な蓋は思ったより頑丈で、滑ることもなかったので、家も建てられそうだった。
ここには邪魔な人間もいないし、これなら、なんとかこの上で暮らしていけそうだとみんなで喜んでいると、それを遮るように声がした。
おまえたちは何者だ。どこから来た?
声の主は、四つ足で歩く虎のような獣だった。
おばけたちは、我らは災害のために、元の国に住めなくなって、逃れてきたものだ。
どうか我らに大きな広場を一つ使わせてはもらえないだろうか?
おまえたちは何人いる?
虎のような獣は、問いました。
逃げる途中で減ってしまい、200人ほどしかいない。
それなら、そこにある一番大きな広場を一つ使えばいいだろう。
くれぐれも我の邪魔はするなよ。
と言ったので、おばけたちは感謝したのだった。
おばけたちは、境界の裂け目を通って、続々と移住を始めた。
飛ぶのがあまり得意ではないものは、飛ぶのが得意なものに引っ張られて、休み休み上って行った。
こうして、表側の国から、おばけたちはいなくなったのさ。
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