中秋の名月に添えて

麻生 凪

序「武蔵野」

めぐりあはむ


空行く月のゆく末も


まだはるかなる


藤原定家「新千載和歌集」より/1356年 (延文元年)


武蔵野……

その範囲についての明確な定義はないが、一般には、関東地方の埼玉県川越市以南から、東京府中に拡がる地域とされる。また広義には、武蔵国むさしのくに全部(現在の東京都と埼玉県及び神奈川県の川崎市、横浜市にあたる)とされ、万葉集を始め、古来様々な文芸作品に登場してきたが、描かれる姿はどれも、雄大な大自然である。



行くすゑは


空もひとつの武蔵野に


草の原より出づる月影


……九条良経……


草原から昇る月は、広大なる原野「武蔵野」ならではの風情がある。

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