小春蒼
何だかんだで、あまねは5歳になっていた。
今日はあまねは珍しく落ち着きがなかった。なぜなら、自分が誰かに引き取られるからだった。
落ち着きがなかったのはゆうきも同じだった。ゆうきも誰かに引き取られるらしくて、お互いに落ち着きがなかった。
そしてその人が迎えにきたというので、玄関まで出ていった。
そこに迎えに来ている人は一人しかいなかった。
「あ、あお……」
あまねはそう呟いた。
その迎えに来ている人物はいつぞやかの小春蒼だった。
「では、お願いします」
施設の人はそう言い、二人を蒼に預けた。
「え……?」
「え……?」
まさかどちらも、二人が同じ人に引き取られるとは思っていなかった。
「改めて、小春蒼です。よろしくね、二人とも」
蒼はそう自己紹介した。
「あまね、知り合い?」
「うん。前に話した、お母さんの友達……」
「そうなんだ」
「あまね、何か話したのか?」
「昔……でも、大丈夫だよ、ゆうきも、同じだから」
「まあ、誰かに聞かれてなきゃいいけどな」
「僕たちに近寄ろうとする子なんていません」
「そっか……それと、ゆうき、敬語じゃなくていいよ、家族だし」
「は……うん、わかった」
ゆうきはなんとか敬語をやめようとした。
そして家に着いた。
家は一人暮らしにしてはちょっと広いってくらいの家だった。
「今日から、3人で暮らす家だ。自分の家だから、遠慮とかは、いらないからな」
蒼はそう言った。
「あの、」
ゆうきは蒼に何かを聞こうとした。
「どうした?」
「何で、僕たちを引き取ってくれたの?」
「俺は、異能力者の中で、最強って言われてる。俺は、異能力者を守らなきゃいけない。だからだよ」
「そっか……ありがとう。ほんとに」
「当然のことだよ」
蒼はあまねを探していた。そしてゆうきも同じ施設に居て、一緒に引き取った。
蒼は、このように能力を持ったからって捨てられる子供が一定数いることを知っている。だからこそ、助けたいと思った。全員ではなくても、少しだったとしても。
それに、蒼は杏奈が好きだった。なのに、何もできなかった。そして星悟の計画を知った。杏奈に接触しようと思った。でもそのころには杏奈はいなかった。蒼は後悔していた。
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