第62話 ミラ様処遇
引き続き、第一応接室にて。
「ところで、ミラ!落ち着きましたか?」
「も、申し訳ございません!」
「イースタウンで何があったのか?知ってることをすべて話しなさい。」
「はい……皆さまには、ご迷惑をお掛けし大変申し訳ございませんでした。
また、このたびは、助けていただきありがとうございます。
私の知るところは、すべて正直にお話しいたします。」
ミラ様は床に座り直して、皇王様に向けて事の経緯を語りはじめた。
「私は、エメが次期皇王に決まった頃からそれを不満に思っていました。
そして、イースタウンに移ったあとも、そういう振る舞いをしていたので、代官に目をつけられ、提案に乗ってしまいました。
そのときに聞いたのは、エマが移ったウェスタウンの代官も承知しているとのことでした。
代官同士は、ご存知のとおり兄弟なので、東西を同時に抑える事ができると。
最終的には、無血開城になるとのことで、皇王様は隠居いただく計画でした。
ところが、約1ヶ月前です。
エマを襲撃するという計画が出ました。
西側はエマがいると邪魔だという理由で実行しようとしていました。
その時、聞いていた計画とは違い、武力行使も含まれていることを初めて知り、反対しました。そして、その日、私は急病ということで、牢獄に監禁されました。
そこからは、何の情報も与えられなかったので、よくわかりません。
これが、わたしの犯した、事のあらましになります。監禁されたのち、後悔の日々でした。
今となっては、エマが無事で、計画が事前に皇王様の知るところとなった事に、心より安堵しています。。。
私はいかなる処分もお受けする所存にございます。私が起こしたことではありますが、無事に解決されるよう、よろしくお願い申し上げます。」
ミラ様が床で平伏している。
見ていて痛々しい。つらい。
「ミラ!顔を上げなさい。」
「はい!」
「あなたのしたことは、許してあげることは、出来ないわ!きちんと罪を償ってもらいます!」
「はい、承知しております。」
「ただ、今の現状は、最悪の事態は免れたわ。ユメたちが、ミラを連れて帰って来てくれたおかげで、向こう側の大義名分は失われています。
なので、甘いかもしれませんが、ミラの処分は、公爵領予定地の没収と国政に関わる権限の剥奪とし、隠居することを命じます。
ただし、王都に居を構えて一緒に暮らしましょう。私も一緒に隠居するから。」
「皇王様!うううう。」
皇王様が、ミラ様のところまで行って抱きしめた。やっぱり親子やな。もらい泣き。
「あの。皇王様!ミラ様に関しては、仰せのとおり、私も異論ございません。それはありがたいのですが、皇王様が御隠居されるというのは、どういう意味でしょうか?」
「今回の件を公表するにあたって、サイモン兄弟両代官を主犯とし、処置してほしい。また、ミラはその陰謀に担がれたが、未然に我らと通じて阻止したこととしてほしいのだ。
その代わりに、彼らの本質を見抜けなかったことについて、この国の代表として、この事態を引き起こした責任を取り、事態の収束ののちに、エメを1年前倒しで皇王とする。」
「皇王様!それについては、私に責任がございます。私の首を差し出します。」
「ルーカスよ。お前も察している通り、これは今回の件を国としての責任とすることを目的としているのです。
つまり、私が家族のためにすることです。
お前の気持ちはありがたいが、国政に残り、エメを助けてほしい。
すべて私のわがままなのです。
それに、お前が責任を感じているなら、なおさら残って、この国を支えてほしい。
お前にとっては、残る方がつらい立場になると思う。それをお前の責任の取り方としてもらえないか?」
「皇王様!!承知致しました!!
全身全霊をかけて、エメ様をお支え致します!」
「ミラがいなくなって、サイモン兄弟も慌てているでしょう。悪あがきするかもしれないわね。
まずは、事態の収束に取り掛かってくれ!」
「はっ!承知致しました!」
「エメも理解してくれるわね?よろしくお願いしますね!」
「はい、承知致しました。皇王様!」
こうして、カナール皇国は、事の収束に向け、動き出した。
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