第60話 ミラ様どこよ?

 僕たちは、代官の部屋に突入。

 完全に油断してるな。鍵もかかってないしね。

 こっちは、どこに何の部屋があるのかわかってるのだよ!


 お前らの悪事は暴いてやる!じっちゃんの名にかけて!



「これ、東側と西側の両方のリストが机に置いてあるわ。手間が省けたな!

 ほんとに無防備で助かったわ。

 それじゃ、もうここに用はない。

 ミラ様を探しに行こう!」



 第三順位、第四順位、第五順位、次々と廻っては、部屋を探したんやけれども、どっこにもおらんやないかーい!ないかーい!



 次は最後の第六順位なんやけど、そんなことあるんかいな!

 この街にいない可能性も出てきたな。

 もう今のところそこしか候補ないし、一応行ってみよう!



「さすがにここにはおらんのちゃうかな?

 そこまではせんやろ?」


「ユメ!クーデターしようとするもんは、もう尋常じゃない思考を持っとるさかいに、何があっても不思議やないで。」


「そっか。そういうもんなんかな?

 ここは、さすがに厳重やね。

 とにかく、入ってみよ。」


 でも、ここにいるとしたら、流石に最上階やろな。まずは、そこまで行ってみよ。



 最上階に着くと、この建物には、不釣り合いな、扉の部屋があった。

 その扉は案の定、鍵がかかっており、開ける事ができない。

 ただ、下の階と違って2部屋しかなく、ここには誰も人がいない。


「エマ!部屋の中に人はいる?」


「うん、こっちの部屋の中に1人だけいるよ。」


「ここからは、鍵がないと無理やな。」


「お頭!あそこに鍵がかかってますけど!」


「おー、ほんまや。

 はいはい、ちょっとお借りしますね。」


 ガチャ。開いたね。


「何!」


 お姫様のような女性が1人座っていた。

 だいぶとやつれてるな。

 たしかに、皇王様に似てる。たぶんそうやな。

 まさか、こんなとこにおるとは、なんてこっちゃ!


「みんな入って、すぐ閉めて!

 エマ!こちらはミラ様か?」


「うん、そうだよ。」


「どうなってるんや!

 エマ!ここからは、ミラ様とそのまま話してくれる?」


 エマは頷く。ミラ様に聞こえるように話しかける。


「ミラ様!エマです!」


「え?エマ?どこにいるの?


 え?ごめんなさい!ごめんなさい!

 私は止めたんだよ。でも、でも。」


 ミラ様が崩れるように床に頭をつけて、号泣している。一体、何があったんや!



「ミラ様!何があったか教えてもらえますか?」


「エマ!許して!

 私はあなたを襲うつもりはなかったの。

 私は反対したんだけど、もうどうしようもなくて。

 それからは、ここに閉じ込められたから外の状況は全くわからないの。

 本当なの。ごめんなさい!」


 そう、何を隠そう、実はここは牢獄である。

 流石に最上階の部屋は要人対応のものだったが、まさかの監禁に遭っていたのであった。


「ユメ!ミラは嘘は言っとらんな。」


「わかった!エマ!隠密解除して!」


 ミラ様の前にエマが姿を現す。


「ミラ様!私はまだ生きてますよ。

 皇王様に頼まれて、あなたを説得しにきました。その必要はなさそうですけど。」


「え?エマ?エマ〜!良かった〜!うわーん!怖かった〜!」


 ミラ様がエマに抱きついている。


「エマ!もうだいたい状況はわかった。早々にここを立ち去ろう!」


 そう言って僕も隠密を解除する。


「ミラ様!僕はユメと申します。エマのなかまです。

 さっきエマが言った通り、皇王様の依頼でここに来ています。

 今から、ミラ様を王都に連れて帰ります。いいですね!」


 ……。


「ミラ様!!いいですね!!」


「は、はい!お願いします!」


「それじゃ、僕がミラ様をおんぶしていくから、みんなついて来て!

 ミラ様!僕たちは、もう一度、姿を消しますが、そのまま、僕におぶさっててください。お願いしますよ。

 ここからは、強引に行きますからね!

 それじゃ、エマ!隠密!」


「承知☆」



 下の階に行くと、衛兵たちがいるところを通る必要があるんで、ミラ様は必然的に見つかってしまう。


「おい、王女が空中を飛んでるぞ!なんだあれは!脱走するぞ!捕まえろ!」


 覇気!


 衛兵レベルだと使えるな。

 このまま下まで向かおう。


 覇気! 覇気! 覇気!


 次々と衛兵が気絶して倒れていく。

 当然、なかまじゃないミラ様も、最初の覇気で気絶中です。


「よっしゃ!建物から出られた。

 カグヤ様!お願いします!」


「おーけー!」


「僕はミラ様をおぶったまま乗るから、みんなは、ミラ様を隠すように密着お願い!」


「「「「承知!!♡☆」」」」


「ほないくでぇ!」


 帰りもカグヤ様号ジェットバージョンで、最短コースを飛ばす!


 それにしても、いまさらやけど、隠密スキルってやばいな。

 今回はほとんど見つからずに、ミッションコンプリートしてしまった。


 とにかく、早くミラ様を連れて王都に行って、対応しないと。

 ミラ様が脱走したことは、遅かれ早かれバレるやろうからね。

 ミラ様が空を飛んで逃げていったことになるけど、聞いた人は信じるかな?


 とにかく、急ごう!


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