第53話 王城に入る

 はい、エマさんよろしくお願いします!


 まず、守衛に人に声をかけている。


「すいません。エメに取り次いで欲しいんですけど。エマが来たって言ってもらえれば、わかると思います。」


 あら!すごい軽いね。大丈夫ですか?


「ん?王女様のこと言ってるのか?」


「そうです。お願いします!」


 エマが、仮面を取って顔を見せた。


「え?あれ?王女様?あ!エマ様ですか!

 すいません。失礼しました。本当に申し訳ございません。ただいま、確認して参ります。少々お待ちください!」


 わー、めっちゃダッシュで行ってしもた。

 横にいた守衛の人も恐縮して、守衛室で待つように案内してくれた。

 それから、周りがバタバタして落ち着かん。ちょっと、落ち着いて欲しいんだけど……。



 それから少し経って、先程の守衛の人と、もう1人女性の方が来た。


「まあ!エマ様〜!ご無沙汰しておりました!お元気そうで!よくお越しいただきました。」


「イザベラ!出迎えありがとう。今日はエメに会いに来たの。よろしくね!

 お頭〜☆イザベラはエメのお付き侍女なんです。私も小さい時からお世話になってたんですよ。」


「お頭?……エマ様。この方たちは、どなたでしょうか?」


「あ、気にしないで!エメはいる?」


 相変わらず、軽いね。


「はい、エメ様はいらっしゃいます。

 ご案内いたします。どーぞこちらに。」


 わー、ものすごい軽いノリで行っちゃったよ。

 王城だよね。入れちゃうんや!


 うわー!なんか内装がすげーよ!


「こちらのお部屋でお待ちください!

 エメ様をお呼びして参ります。」


 イザベラさんも急いで行っちゃったよ。

 こうしてみると、やっぱりエマは、この国の王女様なんやなぁ!しみじみしみじみ。


「はい、お待たせ致しました。

 エメ様〜お入りになりま〜す。」


「もう!大袈裟でしょ!

 エマ!久しぶりだね!元気してた?

 なんか雰囲気変わったね!

 黒なんてあまり着なかったのに。

 でも、似合ってるよ。」


「わー、エメだ!元気だよ。

 似合ってるでしょ!へへへ。

 みんなでお揃いなんだよ。いいでしょ!」


 瓜二つ!服装でわかるけど、顔はそっくり。まじ双子やわ。


「エマ、この方たちはどなた?」


「へへへ。私のなかまです!」


「「「「私たち黒の軍団デス!!♡☆」」」」


 ここでそれやる?


「はじめまして。僕はユメと申します。

 ウサール王国エンジェル領イガタウンから来ました。冒険者をやっています。よろしくお願いします。

 こちらは、ハガネ、コガネ、モニカ、同じく僕のなかまの冒険者です。肩に乗っているのが、マスコットのカグヤ様です。」


「ユメさん、ご丁寧にありがとうございます。

 で、エマ!あなたもこの方たちのなかまっていうことよね。なんか想像がつかないんだけど、何があったの?

 護衛も付けずに、ここにやってくるなんて、どうなってるのかしら?」


「エメ!そんなことより聞きたいことがあってきたの!

 最近、この国の状況はどうなってるの?特にミラ様との関係とか。」


 ミラ様とは、第一王女様のことらしい。


「そうね。表立っては動きは見えないようにしているみたいだけど、明らかにミラ様に怪しい動きが出ているみたいね。

 噂では聞いていると思うけど、これはクーデターね。私も信じたくはなかったんだけど、各方面で調略の動きを掴んでいてね。その情報が皇王様の耳にも入っているの。

 それでね、皇王様がミラ様に王都に来るように伝えたんだけど、来ないどころか、返事もまだないのよね。伝達に行った者も帰ってきてないのよ。」


「ミラ様どうしちゃったんだろう。やっぱり皇王になりたかったのかなぁ。

 あのね、私も1ヶ月前くらいに襲撃にあったんだよ。誰が来たのかはわからないけど、そこから、エルザと西へ向かって、森ではぐれたところを、お頭に助けてもらったの。」


「え?そんな話聞いてないよ!

 もう、どういうことなのよ!よく無事だったわね!エルザはどうしたの?」


「エルザも無事だよ。今はイガタウンのギルドにお世話になってる。

 私もエルザと合流するまで、イガタウンにお世話になってたの!」


「え?イガタウンって、ウサール王国の西海岸にある街でしょ?

 そこから、どうやってここまできたのよ?

 もう、いろいろありすぎて混乱してきたわ。」


「それはね。私たち黒の軍団は、いろいろすごいんだよ!ここまで、半日で来たんだよ。すごいでしょ!」


 それ言っちゃダメなやつなんやけど!


「横からすいません。僕たちいろいろ言えない事情がありまして、深く聞かないでもらえると助かります。」


「そんなわけにはいかないわ。いろいろ聞かせてもらうわよ!

 とにかく、皇王様のところに行って話しましょう。あなたたちは、エマの恩人だし、エマが信用してるみたいだから、一緒に来てちょうだい。

 イザベラ!皇王様に今から伺うと言ってきて!とにかく急ぎの用事と伝えてちょうだい!」


「はい、行って参ります。」


 たしかに、顔はそっくりだけど、性格はかなり違うな。

 でも、姉妹は仲良しだから、信頼できそうやな。

 それじゃ、行きますか!皇王様ってどんな方やろ。緊張してきた。

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