第44話 ぶっかけ王女

「それじゃあ、お風呂タイム突入!」


「「「承知!!♡」」」

「よっしゃ!」


 どっぼーん!!


 うおー、見られてるやん!

 めっちゃ見られてるやん!

 密着風呂見られてるやん!

 なんで、そんなに近くでガン見してるの〜!


「今日は私から行きますからね〜♡

 ぷにぷに!ここがいいんですよね〜♡

 お頭〜♡どうですか〜♡」


 見られてると余計興奮する〜!

 めっちゃ近い〜!ガン見やめて〜!

 変態やん〜!あっかーん!バズーカ発射〜!


「わーーーー!すいません!!」


 えらいことやってしもた〜!

 エマさんにぶっかけてしもた!

 また、違う意味で顔がドロドロになってしまったよ!えらいこっちゃ!


「あ、大丈夫です!

 楽しそうで、つい近くで見させていただいてたので、お気になさらないで。はう。」


 あー、笑顔なんで、良かったけど、これはあかん。

 王女にぶっかけは不敬罪でもおかしくないやろ!ようわからんけど。

 とりあえず、手ぬぐいを濡らして、拭いとかんと。

 って、指ですくって、それをどうするつもりですかー?ですか〜?

 あ〜!あ〜!

 あっかーん!それはダメーーー!


 あー!舐めちゃったよ〜!

 もう、どうにでもして〜!


「あ、苦い。」


 もう、すいません。って倒れた。


「ちょ、エマさん!大丈夫ですか!

 エマさーん!」


 あ、起きた。


「エマさん、すいませんでした!

 大丈夫ですか?横になってください。」


「あ、大丈夫です。

 みなさんすいません。

 湯冷めするといけないんで、入ってもらっていいですよ。

 ご心配おかけしてすいません。」


 ふー、良かった〜!


「エマさん!それ拭きますんで。

 みんなは、お風呂に戻っていいよ。」


「あ、ありがとうございます。

 自分でやります。


 実はユメさん!

 あのですね、ユメさんにお願いがあります!

 もう、私も不思議なんですけど、急に気を失って、気づいたら白い部屋にいたんです。」


 え?白い部屋?

 え?また、あれですか?


「そこに、白いおじいちゃんがいらっしゃって、神様でした。夢かと思ったんですけど。」


 あーーー!やっちゃったよ。デジャヴや。

 もうこの先の展開がわかりますわ。


「あ、僕たちも知ってる神様です。

 それは本物です。

 優しい人ですよ。

 で、もしかして、契約のことですか?」


 みんなも、もうわかったみたい。

 そりゃそうやろ!デジャヴやから!


「あ、はい、そうです。

 神様から、

 『お前はさっきの勇気ある行動で門が開かれた。ペロってやつじゃ!

 ほほほ、幸運じゃったのう。

 それはそうと、お前は今の境遇を変える強さが欲しいんじゃな?』

 と聞かれましたので、

 『はい、おっしゃる通りです。』

 と答えました。」


 うわっ!なにそれ!?

 あれを舐めたら門が開かれちゃうの?

 ちょっと、もうわからんこと多すぎ!

 この設定、神様の趣味なんちゃうか?

 みんなも、この新事実には、驚きを隠せないでいる。


「あの小僧、変態か!」


「あ、小僧って神様のことです。

 気にしないでください。それで?」


「それなら、ユメさんと契約してみなさいとおっしゃってくださいました。

 契約できれば、ジョブはユニークになるので、今からでも強くなっていけるだろうと。

 ユメさんならたぶん受け入れてくれるとおっしゃってました。

 契約後のことは、契約してから、カグヤ様、ハガネさん、コガネさん、モニカさんの先輩たちに聞きなさいと。

 そして、現実の世界に戻りました。」


 はー、神様!

 もう、カンペやな?

 定型文になってるよ。

 このペースでいくと、どえらいことになるやんかいさ!

 しかも、王女なんですけど!

 王女をテイムしていいの?


「ユメさん!お願いします!

 私にできることなら、なんでもします!

 私と契約してください!」


〈エマがなかまにして欲しそうにこちらを見ています。

 なかまにしますか?〉


 うわー、出た。テイムやわ。

 これ、ほんまにいいの?


「ごめん!ちょっと待って!

 事情は聞かないけど、もう一度、よ〜く考えてからにした方がいいと思う。

 契約って実は僕があなたをテイムするってことなんですよ!

 よ〜く考えてから。ね!ね!」


「「「「な・か・ま!な・か・ま!」」」」


 これっ!何煽ってるん?ハモってるやん!


「……そうですね。」


 ほっ、良かった〜。

 ちょっと残念な気持ちもあったりするけど、王女やからね。

 そんな簡単なことやないよ。うんうん。


「「「「えーーーー!やめるの?」」」」


 ちょっと、せっかく思いとどまったのに、やめなさい!

 君たちは、王女やと知らんから。


 まあ、とにかく、もう、お風呂は帰ってからにして、先にエマさんを街まで送り届けるぞ!


 やっぱ、ちょっと残念かも?

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