第二章 カナール皇国編

第42話 北の国から

 本日、異世界15日目!


 あーあー♪あああああーあー♪

 ああー♪あああああー♪

 んーんー♪んんんんんーんんー♪

 んんーんんんーんんんー♪


「お頭〜♡なに歌ってるんですか?」

「すいません、特に意味はないです!」


 今日も北の森を探索中!

 ナビゲーションがあるおかげで、サクサクとゴブリンを討伐してます。


「まだ、戦闘に余裕があるんで、もう少し奥に行ってみよっか?」


「「「承知!」」」


 奥に行くほど、強くなっていくらしいが、まだ大丈夫そうやしな。無理はしたくないけどね。


「お頭〜♡少し奥の方だけど、人がいるみたい。こんな奥に1人でいるっておかしいよね?」


「そうやね。注意して行ったほうがいいな!

 MP使うけど、ここからは隠密で近くまで行ってみよう!

 MPやばくなったら、密着タイムにするから言って!特にモニカは、要注意!」


「承知♡」


 隠密状態で途中のゴブリンたちは、とりあえず無視して、ひたすら人のいる方に進む。

 カグヤ様号には敵わないけど、結構な速度で移動してるんやけど、まだ結構奥の方やな。

 ブルーの上位のグリーンゴブリンが出てきたぞ。なんとかなりそうやけど、奥に行くほど強くなるな。」


 ひたすら進んで、やっと近づいて来たらしい。


「お頭〜♡ストップ!

 あっちに隠れてるよ〜。」


 隠密のまま、近づいていくが、どこにいるかわからん。


「モニカ!どこにいる?」


「あそこに隠れてますよ!」


 うーん、姿が見えないと鑑定もできん。


「モニカ!隠密のまま、その人引っ張りだせるか?」


「承知♡やってみるよ!」


 モニカにしか、場所わからんしな。


「ヒーーー!」


 キョロキョロして、また隠れた。

 見えたぞ。鑑定できんかったけど、女の人やな。こんなところで何してんのよ?


「お頭〜♡どうします〜?」


「ちょっと声かけてみるわ。」


 僕だけ隠密を解除して、女の人に向かって声をかけてみた。


「すいません!通りすがりの冒険者ですけど、こんなところで何してるんですか?」


 シーーーーン


「こんなところにいたら、ゴブリンたちに襲われますよ!

 この辺、結構強いから、1人だと危ないと思いますけど。大丈夫だったらいいです。」


 シーーーーーーーン


「それじゃ、もう行きますね!ご安全に!」


「ちょ、ちょっと待って!」


 あ、出てきた。

 綺麗な人やけど、ボロボロのドロドロでものすごいやつれてる。


「あのー、助けてください!

 もう歩けない……。

 こんなところで1人になって、もう……。」


 あ、倒れた。


「安心してください。はいてますから。

 これ飲んでください!」


 とりあえず、ヒールポーションを飲ませる。


「あ!ありがとうございます!

 私、エマと申します。

 訳あって、森ではぐれてしまいまして、ここに隠れていたんですけど、どうすることもなく、途方に暮れていた次第です。

 通りすがりでお声をかけていただいて、感謝いたします。アーメン。」


 悪い人じゃなさそうか?

 まずは、鑑定して判断した方がいいな。


〈ステータス〉

 エマ・カナール 17歳 レベル1

 称号 第三王女(カナール皇国)

 ジョブ 歌人

 HP 10/10 MP 30/30 BP 20

〈スキル〉

 初級歌唱(無)レベル1


 ん?んん?

 これ異世界あるあるやん!

 これは、見なかったことにしよう。

 うん、そうしよう。

 これは、上級者編やな。僕にはまだ早いわ。

 北の森抜けて、国境を超えてきたんやわ。

 こんなステータスでよくここまで来れたな。

 間違いなく、普通やない。あかんやつや。


「お腹空いてますよね?

 これ、非常食なんですけど、食べてください。」


「はい、もう何も食べて無くて、ありがとうございます!」



「エマさん、事情は聞きません!

 言わないでいいです!

 これから、どうするつもりですか?」


「もうここにいたくありません。

 ここはウサール王国ですよね。

 できれば、近くの街まで連れて行ってもらえるとありがたいのですが、お願いできないでしょうか?お願いします!!」



 良かったー!それくらいなら大丈夫やわ。


「はい、承知しました。

 みんな、エマさんが引くといけないんで、一旦離れてもらえる?

 そしたら、出てきていいよ。」


 隙あらば、密着してくるんです。


「エマさん、こんにちは!」

「どーもなんだよ!」

「はじめまして!」


「「「わたしたち、黒の軍団デス!」」」


 なんで、ハモって挨拶するの?

 しかも、また、メロイックサイン?


「僕のなかまです。

 ハガネ、コガネ、モニカ、そして、カグヤ様です。

 僕はユメと言います。」



「あ、はじめまして、エマと申します。

 助けていただき、ありがとうございます。

 黒の軍団さん、お揃いでカッコいいです。」


「それじゃ、エマさんをおぶっていきますんで、僕に乗ってももらえますか?

 早くこの森を抜けたいんで、急ぎます。

 ハガネ、コガネ、ごめんだけど、前を行ってくれる?

 モニカは、モンスターのいないところを誘導して!」


「「「承知!」」」


「すいません。お世話になります。」


 このあとのことは、街に帰ってから考えることにしよう。

 まずは、この森を無事に抜けないと……。

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