第九話 若本規夫氏 ~健全な精神に狂気が宿る~
私は今、悩んでいる。
非常に悩んでいる。
若本規夫氏。
妙にテンションの高い、中毒性のあるナレーターというイメージがあるが、考えてみれば、アナゴさん(サザエさん)や岡星の主人の声(美味しんぼ)という市中の人も普通に演じている。
なんだろうなぁ?
私は狂人の真似をした「実は俺のほうがまともなんだぜぇ」というアホを見るのが大嫌い人間(某オウム真理教とかね)で実は、若かったころは「はぁ、そうですか?」程度だった。
ところが、通っているスポーツジムで若本氏がナレーションをしている番組を大画面で流していて私もトレーニングの合間に見てしまう。
妙に粘っこくってくどいナレーション(褒めています)に段々興味がわいた。
興味が湧いたらとりあえずWikipedia。
声優(俳優)の中には純粋に子役から芸能界入りした人多いが、実は経歴を調べると元々はサラリーマンだった人が意外と多い。
だから、前職がある事を私はさして驚かない。
が、今回は驚いた。
機動隊。
あの学生運動鎮圧にも警察側として参加している。
で、ふと思った。
もしも、若本氏に会って話が出来たら聞いてみたい。
「正義って何ですか? 平和って何ですか?」
たぶん、個人の勝手な妄想だけど機動隊の日々の中で彼の中にも疑問が芽生えたのだろう。
平和、正義、規律……
それらは文学や哲学で語られ広がっていく。
ならば、それを体現したドラマや演劇に参加すれば、今で言うなら、
『俳優とはアブノーマルな世界も知る事である』
あるベテラン俳優(声優)が話していた。
――正義とは都合のいい自己主張である。
――平和とは馬鹿を量産するための手管である。
――規律とは非合理的な理想論である。
などと書けば私が狂ったかと思われるかもしれないが、日々のシュールなニュースを見ていると存外、外れていないようにも思う。
若本氏のナレーションはそんな哲学の純粋さ(って何よ?)があるように思う。
みな、誰しも大人になるために(体ではなく精神の話)一度は理想と現実のはざまで悩み苦しむ。
ただ、
「わー、せかいせいふくをねらうまおうがやってきた! でんせつのぶきとぼうぐをみにつけてやっつけてやる!」
「わー、やられたぁ」
「せかいはへいわになった! ばんざーい、ゆうしゃ○○!」
という絵本のような単純な世界ではないことは分かるだろうか?
あるテレビゲームの主人公を思い出した。
その主人公は純粋で強く、周囲から『勇者』と崇められていた。
しかし、その友人と婚約者の裏切りにあい魔王となってしまう、という話だ。
(分かる人には分かる)
純粋なる魂にこそ狂気は宿る。
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