第39話 青い鳥と共に2
ルピナスは魔力の繋がりによって離れていても僕が考えている事が理解出来る。
僕が望んだようにレッサーラビットの裏側に回り込んだルピナスは、先ほどと同じように【風刃】を放った。
狙いは違わず、レッサーラビットの後頭部に命中した。
(もしザザさんみたいに、小石ぶつけてたら二回に一度しか当たらないかも……)
僕がそんな事を考えているうちに、ルピナスはレッサーラビットをすぐ側まで誘導してきたので、ルピナスの召喚を解除した。
僕は茂みから即座に飛び出し、先ほどと同じく突きを繰り出した。
ルピナスが突然消えて、固まっている様に見えたレッサーラビットの耳がピクリと動いたが、僕は止まらずそのまま突きを放った。
僕の放った突きは、ジャンプしたレッサーラビットに難なく避けられ、しかも全力の突きを放って体勢が崩れ隙だらけ状態だった。
その僕に向けて、レッサーラビットは着地後、反転しての頭突き攻撃で反撃してきた。
「僕が逆にカウンターで! ……魔力循環!」体勢が崩れた状態で顔面へのカウンター攻撃を盾で弾く余裕もなく、僕は初戦と同じように盾で受ける事になった。
それでも咄嗟に腕をクロスさせ、体を丸め顔面を守るようにし無理やり後ろに跳べたのは、レッサーラビットとの戦いに少し慣れ余裕が生まれたおかげかもしれない。
盾でまともに受けてしまい、腕が痺れるかと思ったが、初戦で頭突きを受けた時の様にはならなかった。
直撃を受けた事により地面に倒れはしたが、後に引きずる様なダメージは受けなかった。
二度の魔力吸収により僕自身が、多少強くなっているのもあるだろうが……
(……盾の性能のおかげだ、ゼダさんありがとうございます!)
倒れた僕は、その場で転がりレッサーラビットから距離を取った。そして急いで立ち上がり、相手に対して防御姿勢を取った。
仕切り直しだった。だが初戦のような敵の猛攻を凌いでの時間稼ぎも、敵の攻撃の見極めも必要なかった。
(次の攻撃を弾いたら隙を突いて攻撃する……ルピナス!)
僕はルピナスを召喚し上空に待機させた、レッサーラビットはそれに気がつかず、僕にジャンプからの蹴りを放ってきた。
その攻撃を僕が弾いた後に、ルピナスの【風刃】がレッサーラビットの後頭部に命中した。
レッサーラビットは後ろからの攻撃に反応し注意をそちらに向けた。
(警戒後の反応は違っても、ダメージを受けた後の反応は同じで単純なんだな!)
僕は、無警戒にルピナスに意識を向けて隙だらけになったレッサーラビットの首筋に突きを放ち、そのまま切り裂いて止めを刺したのだった。
問題はあったが、思っていたよりもすんなりと二匹も仕留める事が出来た。借り受けた装備のお陰もあるが、ルピナスの存在無しには考えられなかった。
ルピナスは浮遊精霊なので【風刃】の威力も、敵を倒せる程の威力は無い。それでも釣り役と不意討ちによる牽制役は十分すぎる程、役にたった。
(これで攻撃力まで上がれば、攻撃役にもなれるかも……)
そんな事を考えていると、野良募集をしている人達が思い浮かび、必死に仲間を募集する気持ちが今は、良く理解出来た。
(それぞれが得意な事で、役割分担を出来れば狩りは凄く安定するんだな)
今朝の強い敵を倒す為の必死さを、僕は実感として理解出来なかった。
それなのに批判めいた事を考えていた自分を反省しながら、仕留めた獲物の魔素吸収を始めるため、獲物に向かう僕だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます