第9話 佳奈の場合6

〔菜乃花: そういえば、松中さん最近よく蒼くんの近くにいない?^ ^〕


うん…それは私も思ってた…。


菜乃花には私が蒼くんを好きなことは、とっくの昔にばれている。だから、菜乃花のこれはからかい半分だ。


〔私: そうかも…?笑〕


と送り返す。


〔菜乃花: なーにとぼけてるのよー!そんなんじゃ松中さんにとられちゃうよー?〕


それは嫌だ。2人が一緒に帰っている姿とか、手を繋いでるとことか絶対見たくない。


〔菜乃花: 蒼くんが松中さんを保健室に連れて行った時のあれは完全に恋が始まってもおかしくなかったもんなぁ〜〕


確かに、私も羨ましかったし…。


〔私: どうしよう泣〕


〔菜乃花: 行動あるのみなんじゃない?まぁ、あんまりあからさまなのは、ちょっと…だけど〕 


悩ましい。どうしたらいいんだろう…。気づいたら私は検索画面で、「好きな人 アピール」で調べていた。


検索結果には、挨拶や笑顔、ボデイタッチなど、どこかで見たことのあるようなアピール方法が並んでいた。


うーん、クラスの人にバレずにアピール…どうしたらいいんだろう…。


スマホをスクロールしていく中で、ある言葉が目に止まる


「しっかり感謝の気持ちを伝えること」


感謝の気持ちかぁ、……そういえばこの前の横断歩道の事ちゃんとお礼言えてなかった…。


今更ながら、なぜ言わなかったのかものすごい後悔に襲われる。こうしてはいられない、お礼の伝え方を考えよう。




その日の私は一晩中、蒼くんへのお礼についてで、頭がいっぱいだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る