第2幕 クラブ ファランドール
オヤッサン
「俺が通っていたクラブだよ」
女主人
「これは、これは、ドミノ様、ずいぶん、お見限りでしたこと」
オヤッサン
「え!うむ、いや、ちょっと三ヵ月ほど、海外旅行に行っていたもので」
女主人
「それは素晴らしいことで。で、どちらの方へ」
オヤッサン
「え!うむ、いや、格子のある・・」
女主人
「え、格子!」
オヤッサン
「コウシ!いや、格子戸を~くぐり抜け~、えい、ナイショじゃナイショ」
女主人
「まあ水くさいこと。ま、せっかくですから、ごゆっくり」「ピーター、ドミノ様をお席にお連れして」
ノッポ
「オヤッサンはドミノっていうのかい。ずいぶんカオみたいだな」
オヤッサン
「それほどでもないが、おおそうそうマリーはどうしているかな」「インテリならいっぺんに気に入ってしまいそうだぜ」
ピーター
「お待たせしました。ファランドールの華、マリーです」
マリー登場 (愛のうたを歌いながら)
オヤッサン
「どうじゃなインテリ、あんたにピッタリの子じゃないか。歌はうまいし、あんたの良いパートナーになりそうじゃな」「おお、マリー、マリー、こっちじゃこっち」
「紹介しよう、こちらがインテリ、おっと名前はなんじゃったかな」
インテリ
「ロビンです。ロビン・クレメンテ。君の素晴らしい声に魅了された果報者です」
ノッポ
「俺はシュガー・クリス、みんなノッポって呼んでいるんだ。よろしく」
マリー
「私はマリー・ペイジ、このクラブで毎日歌っているの」
インテリ
「なんて美しい人なんだ。君のような澄みきった声の持ち主が、こんなところでうずもれているなんて、残念だな」「もっと大きなステージへ出るといい」
女主人
「こんなところで悪かったでございますわね」
インテリ
「これは失礼」「でもマリー、君はきっとスターになれる。僕が保証するよ」
マリー
「ありがとう、ロビン。だけど私、だめだったの。シーサイドのオーディションを受けたとき、風邪をひいて散々だったわ。それ以来、オーディションを受けるのが怖くて」
女主人
「オーディションの日に風邪を引くようじゃ話にならないわね。この世界、きびしいのよ」
インテリ
「大丈夫、今度はきっとうまく行くよ」「オヤッサン、ノッポ、ちょっと力を貸してくれないか」
オヤッサン
「待ってました」
ノッポ
「そうこなくっちゃ」
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