第1話

創作をされている方々は、やっぱり何かきかっけがあって書き始めることになったんだと思います。

私の場合は、と考えると。

覚えている範囲で一番古い作品?と言えるのかも分かりませんが、幼稚園に行ってたか行ってないかのぐらいに書いた「おひめさまとさめのおはなし」でした。

みんなから恐れられているサメが、お城のお姫様に恋をして――っていうお話だったと思います。

はっきり覚えてないけど、タイトルとその設定だけは間違いなく記憶に刻み込まれています。

下手くそな字で、でも縦書きでちゃんと本のカタチになっていたあの冊子は一体どこへいってしまったやら。

おそらく最後まで書けてはいなかったんだと思いますが、そんな幼い頃にすでに書き始めていたのかと思うと三つ子の魂なんとやら、ってやつでしょうか。


その後はしばらく空想・妄想に浸る日々を送ることになります。

小学生時代には脳内で二次創作的なことをしていたし、中学生・高校生時代もそれは変わらず。

高校卒業するときに、色んな先生方から

「水無月さんはいつも真剣な表情で授業を聞いていた」

と言われましたが、脳内の半分では空想してました(汗)

いや、真面目に授業を聞いていたし、ノートも取っていたんですよ!

そこはしっかり主張しておきます。

だけど、脳内に住む空想・妄想の魔物が、いつの間にか私をどこか違う世界に連れていってくれていました。


二十歳を超えた頃からはインターネット上で二次創作を上げておられるのに出会いました。

その時に、「ああ、こんなふうに自分の作品を世に出す方法があるんだな」と新しい発見をしたのです。

高校三年生の夏休みに見切り発車で書いた探偵ものの冒険物語も途中で投げ出した私には、そんなふうに発表している人たちが眩しくて仕方ありませんでした。

ていうか、そんな時期なら受験勉強してなかったのかと今更ながら自分にツッコミを入れたいところですね(汗)

多くの方が発表されている二次創作作品をネット上で読み漁り、誰かの作品に楽しませてもらいながら時間は過ぎていきました。

小説だけではなく、マンガやイラストを上げてらっしゃる方も多くて、ホームページにお邪魔するのが日課になり、インターネットの世界って本当にすごいと思いながら過ぎていく日々。

自分の頭の中では断片的に浮かんでくる場面はありつつも、それを作品として仕上げるだなんて思いもしないまま、ただただインプットするのみ。

それはそれで本当に楽しかったです。

でもずっと自分の中には、「私にはこの人たちのように、こんな素晴らしいものを書く力は無い」という思い込みでした。


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