第27話 竜娘、早起きをする
大きな欠伸をしながら身体を伸ばす。
…………寒い。
自分の周りを寝ぼけ眼で探り使っていた毛布を手繰り寄せくるまりながらボーッとしながら昨日の事を思い出す。
結局あの後私達も何があったのかを聞かれた。
最初は何でかな?と思ったがどうも冒険者ギルドと傭兵ギルドに知らせる為にとの事らしい。
しかしあんな出来事普通に考えて証人が一人だけだと真実味が無いため出来れば証言と証拠となるものの提出を頼まれるのだが……。
竜血晶は流石に渡せないと天城が拒否した。
というより触れさせようとすらしなかった。
もちろん私も他の人も不思議と思ったし普通に反感もあったがもちろん説明をしてくれた。
「人の怨念の塊から出てきた物をおいそれと呪い耐性の無い人間に渡せる訳がないだろ?」
との事だった。
だから代わりと言わんばかりに明日の朝にアレが死んだ?所に連れていくからそこから証拠を回収する流れとなり事情聴取が終わった。
……あん??私普通に触ってたぞそれはええのんか??おぉん??って今更つっこんだ所で意味も無いか。
それから…………。
何だっけ?眠すぎて思い出せない。
一瞬だけ覚醒しそうになったけど睡魔が強い……。
このままじゃ二度寝しそうになるそれだけは避けないといけなかった気がする。
目を醒ます為にベッドから降りようとした瞬間柔らかい何かが足の裏に触れた。
あっ……。
一緒の部屋の人がそこには居た。
あ〜そういえば確かあの後はみんなでバーベキューをしたんだった。
それはもう歌えや騒げや踊れや飲めやとまぁ派手な宴みたいな状態。
まぁ普通に考えてこんな所でこんなに騒いでも大丈夫なのか?それに他にアレが居ないとも限らない……。
そんな事を蟹丸に聞いてみた所
「問題ない!!まぁ正直な所は警護の為に付いてきてくれた人達に対しての労いってのもある。正直これで貰えるお金はそんなに多くないからな飯ぐらいはまともに食ってもらわないとだろ?それに彼等は冒険者や傭兵達だ。何時どんな時に死ぬのか分からないこんな時ぐらい楽しんでもらわないとな」
そういう物なのか。
確かにどの程度かは知らないけど少ないお金だけって言うのも不満なのは分からんでもない。
「それと騒音だがいつも俺が結界を張っている。お前らみたいな最上位者達のとは多少は劣るかもだが問題は無いから心配しなさんな」
納得。
確かにそれなら大丈夫だろう。
その後は私もみんなとの交流の為と思い大量の竜の肉を出したらもの凄く喜ばれたのは覚えている。
どうも後で聞いた話だと竜の肉は種類によるがかなりの高級品らしく最低ランクの竜の肉でもそこそこの値段がする為おいそれと食える物ではないとの事だ。
…………まぁ正直アイテムリストでは竜の肉って名前で全てがストックされてるから実の所なんの竜の肉か分かってないのだがまぁ喜んでくれたのなら良いことだよね多分!!
そのまま確か結局古代人というのもバレて色んな事を根掘り葉掘り聞かれ始めたので睡魔がやばいとか何とか言って自分が寝るコテージに逃げたけど結局そこでは同室の人達の女子会に引っかかって数時間拘束されて……え〜とその後の記憶がない。多分寝落ちしたのだろうか??ベッドに移動してたのは運んでくれたとみて良いのかな??
そんな事をフラフラと未だに寝惚けながら歩き昨日の事を考えていた。
「冷たっ!!」
急な冷水による冷たさは急激に意識を引っ張るには十分すぎるほどで……。
あ〜駄目駄目!!
この身体になってから寒いと身体が温まるまで身体の怠さと睡魔の残業率が凄い。
そんな事を無視するかのように思いっきり頬をぶっ叩く。
「痛い……」
「うお!?何してんだ??」
頬を真っ赤に腫らしながら聞き覚えのある声の方に振り返る。
「……おはよう。」
「おはようさん。それで何してんだ??」
「……気にしないで。ただの目覚ましだから」
タオルを取り出し顔を拭う。
「それで??そっちこそ何か用??」
「用ってよりたまたまだな」
いつものように目を覚ましトレーニング前に軽く顔を洗おうと水場に来たら私が自分の頬を思いっきり叩いた所と鉢合わせしたらしい。
……しかしトレーニングか。
「ついて行ってOK??」
「良いけど面白くないぞ??」
「構わんよ」
やりぃ!!
起きたのは良いけど何しようかなと思ってたから丁度いい暇つぶしが向こうからやって来た。
そうと決まれば「動け!!動け!!」と言いながら背中を押し急がせる。
「押すな!!馬鹿たれが!!」
「まぁまぁ!!せっかくなんだし急ぎましょ」
呆れたと言わんばかりなため息を吐かれながら移動をし始められた。
途中、辺りを警戒していた冒険者さんに声を掛ける。
「少し歩いた先の広場でトレーニングしてくる。何か俺に要件などがあるって奴がいたら教えてくれ」
「分かった。ここらは魔物はいないだろうけど注意しろよ」
「了解」
そう言いズカズカと先に進む蟹丸を追いかける前に冒険者さんに一礼し後を追う。
木々が生い茂る道とはいえなさそうな道を進むとそこそこ広そうな場所に出た。
「ここか〜」
「する事自体はそんなに派手なことじゃないからな」
「で?どんな事するの?」
「まぁ、型の練習だったり軽い組手だな」
その言葉にキョトンとする。
組手って一人じゃできないんじゃないの??何を言っているんだろう??
「まぁ見てろって」
そう言ってアイテムボックスから木の人形とそこそこの大きさの魔石そして一枚の魔符を取り出す。
そしてぐだりと自立もできない人形の額に取り出した魔符を貼り付け魔石を人形の胸の窪みの部分にはめ込むとそれはスっと当たり前かのようにその場で立ち上がった。
「は〜なるほどウッドゴーレムか」
「そ。便利なんだよねこれが書いた魔符を変えるだけで行動パターン変えれるからね」
「ちなみに今はどんな魔符に?」
「今は単純に術者の行動完全コピーだな。型の練習する場合腕の角度だったりとそれらを確認する為だな」
そう言うと彼はトレーニングを始め出したので脇の方にある岩に腰掛けながらその様子を眺める。
武術ってものはよく分からないけどやっぱりこういうのは大事なのかな?
それを見ててやはりと言うべきか思う所があった。
今後私はまた旅に出る。そうなれば否応にも戦闘になるだろう……。
そう思うとこんな感じに彼の訓練を傍観なんかせずに一緒にするべきなんだろうけど…………ん〜
「……めんどくさいんだよなぁ」
「なんか言ったか??」
「んにゃ。一人言」
まぁ、なる様になるだろう……。楽観的思考
「てかさずっと聞こうと思ってた事あるんだけどさ良い??」
「俺に答えられるなら」
トレーニング中の彼に対して私はいくつかの疑問を投げかけるとちゃんと答えてくれた。
まず一つ。
一番気になってた事、古代人について聞いてみた。
何時からというのは分からないが見た目が変わらない歳もとってるかも分からない何て傍から見なくても化け物な奴らを気味悪がらない訳が無いわけでそのままだと活動に異常を来すのではとなり色んな国としても普通の人が処理出来ない危険な案件等を頼める唯一の存在に対してぞんざいな扱いをする訳にもいかず国々のお偉いさん達との話し合いをした結果。
一つ、自分達が滞在している国がもし魔物等や自然による被害があった場合それが現地人達のみでは処理できない場合は手助けをする事。
一つ、国々を移動する際の手続きの簡略化。
一つ、人々による戦争等に対して一切の関与をしない事。
一つ、私たちに対して権力的行為を禁ずる。
これらに対して両者が了承した際にある一つの噂を流す事が決定された。
それが古代人の設定らしい。
古い時代にある戦争により人口は激減このままでは駄目となりとある研究の末に実現したが封印してた魔法を大陸全土の人間として定義された者に対して使用を命じられた。
それは不老不死の魔法。
それを使用した場合長い眠りにつくが代わりに次に目が醒ました場合その使用した時の見た目に固定される。
そんな噂を流したらしいが……。
「まぁ、アーサー曰くそんな数千年の前の話なんだだ〜れも覚えてねぇもんだから噂なんて曲がりくねって訳のわからん事になってるからお前らも気にすんな……だってさ」
「えぇ……それじゃ今あるその古代人って」
「あぁ〜殆どが古い時代の偉人って感じになってるな。ある程度の設定は生きてるが本当にぐねんぐねんに曲がりに曲がって伝わったって感じ」
なんて最初のうちは真面目に話すもんだからこっちも真面目に聞いてたのが馬鹿らしい感じになってきた。
まぁそれでも詳しく聞くと古代人ってだけである程度の人達から尊敬や敬意といった好意的な感情で接してくれるから悪い事ばかりではないとの事だ。
「まぁ悪い事ではないんだね?」
「んだ。まぁ完全に自分が古代人ですって証明する物がないのが欠点ぐらいだが……。まぁ全属性の魔法の同時使用でも見せれば嫌でも信じてくれるから練習しとくといいぞ」
「むちゃくちゃすぎるでしょ……。まぁ分かったよ時間のある時にでも練習しておく」
「頑張れ〜」
「そんだけ??こう……コツとかのアドバイスって無い??」
「ん〜無くはないけどそれだとせっかくの異世界が楽しくないだろ??ヒントとしては自分が所持してる魔法系のスキルを駆使すればできるから考えてみ」
うーむ……。不親切なと言いたい所だが言ってる事は分からんわけではない。
しかしそうなるとどうすればいいだろう??属性全てか……。
これは少し難しそうな気がする。
「それで??他には聞きたいことは??」
そういえば今は気になる事に関して聞いているんだった。
「それじゃ〜アレだ。冒険者と傭兵??コレって一緒じゃないの??何か色んな人が両方言うからこんがらがるんだけど??なんで」
個人的に傭兵と冒険者ってこれって感じな明確な差があるイメージしかないんだけどそこん所どうなんだろう??
「あ〜それな。正直詳しい事は知らないがそれでも良いなら」
「構わないよ。最悪自分で調べて補完はするから」
まぁそれなら良いかと言いながら教えてくれた……が。
「…………え?それだけ??」
「言っただろ!!詳しくはし ら な い!!って」
「いや、まぁそれもそうだけど……」
しかしまさか本当にそうだとは思わないでしょう……。
しかし意外と言うかなんかしょぼすぎる。多分、色々あったのだろうけど発足の時に両者の貴族同士が仲が悪いのが原因って………。
本当にそれだけだろう?な〜んかただのワガママな気がするんだよね。
まぁ、情報だけでもありがたいわけだしあとは調べれる時にでも調べてみようかな。
「ありがとう」
「まぁこの程度のことで礼を言われるのもあれだけど。どういたしまして」
「他になにかあるか??」
「んにゃ。これといって知りた〜いってのはないかな??」
「そうか」
そんな会話も終わり他愛もない雑談をしながら天城はトレーニング、私はそんな様子を見ながらって感じで時間が進んでいると……。
「暇だろ??お前もどうだ」
「ん??どうだって??」
「トレーニングしようって言ってんのどう??」
「え……。でも私、まともに運動とかしたことないよ」
「大丈夫だから。元の身体じゃないんだしそれに今後必要になってくるかもだろ??今のうちに身体の使い方は覚えとくと良いぞ」
まさかまさかのあちらからのお誘い……。
確かに戦闘訓練?はのちのち必要になるだろうと思ってはいたけど……。
「まぁそんな難しい事をしようって訳じゃないんだし気張ることなく軽い気持ちでやってみようぜ」
「むぅ……。そこまで言うのならやってみようかな。でもまじのまじで運動出来ないからね私!!そこん所よろしく頼むよ!!」
そうして彼女は重い腰をあげ蟹丸に近付き一緒にトレーニングを開始し始めることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます