詩「わたしたちのみらい」

有原野分

わたしたちのみらい

「言葉を失うのなら

 私は秋の虫になって

 ただ喉を枯らしていたい


   「あかねの花に夕日を重ねて

    あの夕暮れを思い出した

    あなたはそのときふと笑うの


      「電話をかけるわ

       一日置きと一日毎の

       あなたのお好きなタイミング

       で


        影が見えないのはね、そこ

        に暗闇が落

              ているからよ。


               拾わないと


「あなたは寂しい東京タワー

 昭和のエレベーターに乗り込んで

 過去のわたしを点灯する


   「あなたは孤独なアナーキスト

    ロープウェイの片道切符に

    わたしを未来へ連れていく


      「どうだった未来のわたし

       わたしたちの未来はいい感じ


      「どうだったみらいの私

       どこかに光は落ちていたかな


あら、

――眩しいから目が開けられないのかしら…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

詩「わたしたちのみらい」 有原野分 @yujiarihara

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ