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@crazytrpg

第1話

両親は[自主規制]院の医者だった。でも、秘密裏にギャングの手当もして人助けしていた。貧しい患者には金を取らず、いつか返してくれればと言ってそれはそれは感謝をされていた。その行動を[解読不能]は、尊敬していた。

[解読不能]も頑張って医者になるのを夢見て、毎日勉強に励んでいた。でも、[解読不能]は小さい頃から外に出た事も両親以外との人間と接した事もなかった。

両親は「貴方は普通の病気ではないの。人に会えば移してしまう…だから、コレは貴方を治す為の薬。」という理由で外には出さず薬を投与されていた。

でも、ソレは薬ではなく[ここから先は消されている]

[解読不能]は、毎日解かされる問題も次第に教わらずとも解けるようになって、身体能力もだんだん平均よりも上回る様になっていった。だから、両親を疑うという思考に至らず言われた通りに食べていた。両親を尊敬し大好きだったからだ。

ある日、親が見当たらず院内を歩き回り、いつもギャングの手当をしている場所へ向かった。

そこは血の海だった。そもそも[解読不能]は、自分の部屋から出る時は人目を気にしなければ行けなかった。だが、その時は気にする必要がなかった。だって、そこに居たはずの人はもう既に死んでいたからだ。

[解読不能]の両親は、[解読不能]に気づくと最期に生きていた1人の男の前に手招きをして来させる。


「はっぴばーすでー…[解読不能]」


「[解読不能]、この人を殺しなさい。」


[解読不能]は、この時まで両親が殺したのではなく殺人鬼がここに来て全員を殺したのだと思っていた。医者である両親が人殺しをする訳が無いと信じていた。


「[解読不能]は知らなかったわね…私達は医者だけど医者じゃない。」


「私達は神様を信仰しているんだ。そして、[解読不能]はその依代…でも、依代には生贄がつきもの。」


どうやら両親は神を信仰し、生贄を集める為に病院に務め、[解読不能]を育てていたのだ。そして、今目の前にいる奴が最期の生贄だと。


「だからね、これが最期のお薬」


「[解読不能]は、私達のお願い聞いてくれるわよね?」


[解読不能]は、それまで一言も話さなかった。ただ、両親に渡された銃を握り締め、両親の期待の眼差しを見ればとびっきりの笑顔を浮かべた。


パァン


1つの銃声が鳴った。

驚きで声が出なかった。


「[解読不能]…!?なんてこと…!」


[解読不能]は、母親を殺した。

眉間に1発だった。即死だ。


『Thank you…mommy…[解読不能]は、mommyが大好きだよ。』


[解読不能]は、一筋の涙が異様に感じるほど素敵な笑顔だった。母親を殺した後だというのに平然とした様子で笑顔でこちらに話しかける。


『それとねdaddy…神様になるのは普通なの?』


「それは…分からない…でも、」


『…分からないなら、良いや』


「[解読不能]…!待て…!待っt」


パァン


[解読不能]は、父親も殺した。

また眉間に1発だった。


『酷いなぁ…[解読不能]は、2人が大好きなのに…』


笑顔だった。だが、一筋の涙を浮かべた。そして、数秒も経たぬうちに男の前に立った。男は椅子に縛り付けられていて、その時には[解読不能]は笑顔に戻っていてその異様さに死を覚悟したが、縄を解かれた。男は疑問に思った。


『[解読不能]は、お医者さんなの。患者には優しくしなきゃ。』


近くに落ちていた薬品を拾い上げると傷口にかけた。酷く痛んだ。だが、すぐにガーゼをあてた。確かに[解読不能]には医者の知識はあるらしい。


『ねぇ』


「なんだ?」


『[解読不能]は、いつか神様になるんだって。それまでに普通に治してね』


つまり、男を生かしたのは、己を治す為。

男を生かすか生かさないかは[解読不能]次第。


やはりその時も[解読不能]は、笑っていた。

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