僕の彼女。氷室さんは可愛いけれど恋愛は初めてらしいです

三上 蒼太

プロローグ「氷室さん!ぼ、僕と付き合ってください!」

「氷室さん!ぼ、僕と付き合ってください!」

 

 まだ若干の陽気を残しているが少しづつ夏の足音が迫っている四月の下旬。

 ある高校の校舎裏で一人の告白のセリフが響いた。

 

 この微妙に震えている手と声も緊張で自分でも早まっていると分かる心音も初めての経験だった。

 何しろ僕にとって初めての告白なのだから。

 

「……いいですよ。私たち付き合いましょう」

 

 ん?いいですよって言った?

 いいですよって言ったよね?今!?

 

「え?いま……なんて……」

 

 僕は下げていた頭をゆっくりと上げながらもう一度聞いた。

 

「だから……私たち付き合いましょうと言ったんです。あんまり何回も言わせないでください」

 

 少し氷室さんは頬を赤く染めながら恥ずかしそうに言った。

 

「ご、ごめん。まさかオッケーくれるとは思わなかったから……」

 

 僕は自分の頬をつねりながら夢じゃないことを確認してまず最初に出てきた感情は嬉しさによる感動だった。

 

「ど、どうしたんですか?立花さん!?」

 

 僕が目から少しの涙を見せると氷室さんは心配したように僕の顔を覗き込んだ。

 

「ごめん……嬉しさのあまり感動が……」

 

 僕は自分の目に浮かんだ涙を人差し指で払い改めて氷室さんを見る。彼女として初めて目を合わせた氷室さんは一言で言うとめちゃめちゃ可愛いかった。

 

「っ……あの……あんまり見ないでください。恥ずかしいので……」

 

 僕は可愛い氷室さんに見とれていたようでしばらく見てしまったようだった。

 それに気づいた僕にも遅れて羞恥心が出てきて頬を赤く染めた。

 まあこれは慣れしかないかな。

 

「ご、ごめん」

 

「いえ……」

 

「…………」「…………」

 

 数秒間の沈黙が少し気まずくなって先に僕が口を開いた。

 

「じゃ、じゃあまずは一緒に帰る?」

 

「……そうですね。一緒に帰りましょうか」

 

「……うん」

 

「あと……私恋愛とかは初めてなのでよろしくお願いします」

 

「僕も初めての彼女が氷室さんだからよろしくお願いします」

 

 お互いペコペコと頭を下げて手を繋いで帰りました。

 その夜嬉しさのあまりなかなか寝れなかったとさ……。

 

 

 

 

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