復讐が先か、鶏が先か。

マキシマ

プロローグ

 20XX年、異形の人型生命体が街に突如として現れた。そのあまりにおぞましい姿からそれは"悪魔"と呼ばれるようになり人々から恐れられた。

 同時に人類に"能力"を発現させる者も現れ、人々の畏怖の対象となった。

 悪魔は能力者の"能力"によってしか殺せないため、政府は悪魔対策として能力者を集い、Fiend Countermeasures Unit 通称FCUを結成する。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「ジョウ!早く起きなさい!遊園地行くんでしょ。」


「ん...うぅ は〜い。」


 そうだ...今日は待ちに待った遊園地に行く日だった。早く準備しなきゃ。


「おはよジョウ。朝ごはんできてるから食べよ。まぁいつも通りのパンとジャムだけどね。」


 茶色いテーブルの食卓を僕と姉ちゃんで囲む。テーブルの上には熱々のトーストに近所で安売りしてるいちごジャムの瓶。たまにピーナッツバターもあるけど今日は無いのか。


「お姉ちゃんね、今日の遊園地のために仕事頑張ったんだから!ほら、お父さんとお母さんが死んじゃってもう5年でしょ?それ以来だし、遊園地。」


「うん、そうだね。楽しみだよ。」


「あんたさぁ。もっと嬉しそうにしなぁ?あんたを喜ばせたくてやってるんだから。まぁそういう性格なのは知ってるけど。」


 すごく楽しみなんだけどやっぱり僕ってそういう風に見えないのかなぁ...


「あ、そういえば、」

 ピンポーン


「はーーーい。なによ。朝っぱらから新聞ならいらないっていつも言ってんのに。」

 姉ちゃんはいつも通り文句を言いながら玄関に向かう


 ガチャ「新聞ならいりま...う...」


 急に姉ちゃんの声が途絶えた。

「ん?姉ちゃん?」


 玄関では、姉ちゃんが耳の長い全身棘だらけの人型の化け物に抱きつくようにして串刺しにされていた。


 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 あれからもう10年が経つが、その時のソレの狂ったような赤い眼光は今でも鮮明に覚えている。そして、その悪魔であろうソレは今も見つかっていない。

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