第12話 レプトンのギャラバン

 「文化祭、あと少しね。私ね楽しみで眠れないよ…」

 ユリは学校のベランダで頬杖をつきながら、壺井に向かってぼやく。

 「そんなこと言ったって、しょうがないじゃないか。」

 夕日に照らされる教室をバックに壷井はユリを諭した。

 ずっとこのまま二人の時間が続けばいいのに…

 大学からは離れ離れになってしまう、その

事実は変わることなくやってくるのだ。

 「だってしょうがないじゃないか」

 ユリの怒りは頂点に達していた。

 進路が決まってから、壷井はずっとこの調子なのである。


 「よし、この問題わかるやつ…じゃあ進路も決まったことだし壷井」

 「だってしょうがないじゃないか、だってしょうがないじゃないか、だってしょうがないじゃないか、だってしょう…」

 「困ったな、壷井は少し核保存室に保管だ。」

 

 こんなことがずっと続くのだ、みんなはキチガイになったなんて言っていたがユリだけは諦めず、昔の壷井に戻るように看病していたのである。

 しかしユリの温厚さもここまで、とうとう堪忍袋が切れたのである。

 脱腸?切れたと言いますか、多分盲腸みたいな感じだと医師会の方では考えられております。

 「ねぇ壷井くん!ずっとそれしか言わないの気持ち悪いわよ!!」

 そういって顔を真っ赤にしながら、ユリは壷井の方を振り返った。


 夕日をバックにサプライズちんちんの壷井。

 「お前と結婚、いやアナルファックしたいんだ。ディープに!」

 クラスのみんなが花束を持ってユリの元へやってくる。

 「ユリちゃん、おめでとう」

 「ユリ!壷井くんとお幸せに!!」

 「クラスのマドンナであるユリちゃんが、まさかクラスのハネムーン、壷井と結婚とはな…」

 「ユリくん、おめでとう」

 ユリは何か勘違いしていたのかも知れない。この近所の墓地に咲いているパンジーのように、私は強く勇ましく生きていきたい。

 「私、今の気持ちを俳句にしました!聞いてください!」

 

 歩く系のアプリの

 歩数計は当てになったもんじゃない

 強めの抗生剤をたくさん飲ませろい

                ユリ

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