波瀾万丈!家庭科部入部から新入生歓迎会まで

第1話 自己紹介

「初めまして。東京から来ました、新庄奏多しんじょうかなたです。よろしくお願いします。」

 今日は始業式。僕は今、転校先の教室である三年六組にいる。

 

 まさか、自分が転校生となってクラスメイトの前で自己紹介をすことになるとは思いもしなかった。教室中の目が僕を見つめている。僕は別に人の心を読めるわけではないけれど、ほとんどの生徒が好奇心の対象として見ているということは容易にわかった。(ほとんどの、と言ったのは一部の女子の目が明らかにがっかりしていたからだ。イケメンじゃなくて悪かったな!)


「えーと、他にはないかな。特技とか、好きなものとか。」

 

 新しい担任の田辺たなべ先生は、そっけなく自己紹介を終えた僕に、少し困ったような声をかけた。


 別に、今たくさん話さなくたって普通に生活していたら何となく、そいつが好きなものとか、得意なものってわかると思うけど。どうして先生たちって、こうも人前で話させたがるんだろう。


「あ、えと、特にないです。成績も運動も中の中で、しいて言えば体育が好きです。」


 そう言って僕はにっこりと笑った。

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