激空

門前払 勝無

第1話

「激空」


 青く輝くー。

 閃光は瞬く間に横切っていくー。

 戦艦からの激しく立ち昇る黒煙は船員の魂を巻き込みながら天へ消えていく。

 荒浪隊長が駆逐艦へ特攻していくのが確認できた。隊長機は惜しくも駆逐艦の後方へ墜ちていった。

 南田さんも枯葉のように太平洋へ散っていった。

 残るは俺だけである。


 太陽を目指して昇る。

 零は俺と一体化して太陽のエネルギーを蓄えて、真下へ急降下した。敵艦へは気付かれていない。司令塔が目視出来る。


 俺は司令塔を通り過ぎ敵艦のエンジン部へ突っ込んだ。


 一瞬ー。

 無音になり全身の感覚が無くなった。激しく高鳴っていた鼓動の音は確認できない。突撃が成功したのかも解らない。


 目を瞑るー。


 目を開けると大空を仲間達と飛んでいる。

 大空を編隊を組んで飛んでいる…故郷を目指してー。


おわり

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