第130話 エルちゃん初めてのおつかい序章
◆雨宮紗夜視点
「エルちゃんすまん、ちょっと休憩しよ♪」
「んみゅ! しゅぎょーは、またこんどなの!」
「エルちゃんはホンマ元気やなぁ〜紗夜お姉さん疲れちゃったよ」
幼い子は元気一杯やなぁ〜みくるちゃん見終わってから、お絵描きしたりあたしがお馬さんになってエルちゃんを乗せてリビングを散歩したり、みくるちゃんごっこした後にエルちゃんの宝物お披露目会等。まあ、エルちゃんが楽しそうにしてたので良かったけどな♪
「お、エルちゃん何や面白そうなテレビやってるぞ〜」
「んぅ?」
「初めてのおつかいだって♪」
「おちゅかい?」
再放送か何かかな? 小さい子供がおつかいに行くと言う大人気企画のテレビ番組やな。目的の物を買う為にその場所へと向かい、数多くの困難や試練を乗り越えて指定の物を購入して家に帰る。小さい子が可愛くて癒し枠の番組やね。
「へえ〜あんな小さい女の子がおつかいなんて凄いなぁ。感心するわ」
「ふむふむ......」
「ん? どしたのエルちゃん?」
「さよたん、ボクもおつかいしゅる!」
「ええ!? 危ないからやめとき。お姉さん達が心配するから」
「ボクもできゆもん!」
あらあら、エルちゃん完全にやる気になってるな。流石にエルちゃん1人では危ないやろな。あれは番組でやってるから色々と見守られているけど、実際エルちゃんが1人でおつかいをしたらそのまま行方不明になりそうや。
「かえでねーたんにボクができゆところ......みせるもん!」
「エルちゃん、おつかいは大きくなってからにした方がいいぞ〜あれはテレビだから出来る事であって実際は危ないから」
「むぅ......」
こ、これは困ったな。まさかエルちゃんがここまでおつかいに興味を持つとは思わへんかったわ。
「あら? エルちゃんどうしたのそんな拗ねちゃって」
「あ、葵さんお疲れ様です」
丁度その時、用事を終えた葵さんがリビングへと戻って来ました。今日のあたしの役目もそろそろ終わりやな。
「それがエルちゃんが初めてのおつかいと言う番組を見てから、自分で1人で行くとやる気になってるのですよ」
「ええ......エルちゃんにはおつかい所か1人で外へ出るのも危ないから駄目だよ」
「あおいねーたん、だいじょーぶなの!」
「だ〜め! それに心配性の楓お姉ちゃんがそんなの許す訳無いじゃん」
「ぐぬぬ......」
拗ねてるエルちゃんも可愛ええなぁ♡ おめ目うるうるとさせちゃって♡
「紗夜さん、今日はありがとうございました。エルちゃんと遊ぶの疲れたでしょ?」
「いえいえ、あたしも楽しかったです♪ エルちゃんが可愛いくて癒されましたよ〜」
「うふふ♡ あ、紗夜さん良かったら連絡先交換しませんか? せっかくのご縁ですし♪」
「是非お願いします!」
やった! これでまたエルちゃん達とも会えるぞ〜♪ またエルちゃんとも遊びたいし成長した姿を見続けたい♪
「あおいねーたん! さよたんとおともだちなの!」
「あらあら♪ 良かったねエルちゃん♪」
「またしゅぎょーするの!」
「せやな♪ エルちゃん、また紗夜お姉さんと一緒に修行しような♪」
「んみゅ!」
この後、紗夜と葵はソファで寛ぎながらティータイムをして雑談に華を咲かせていた。エルちゃんは葵に甘えながら撫で撫でされ膝の上でスヤスヤとお昼寝をしてしまうのであった。
◆楓視点
はぁ......疲れた。今日も定時で上がる事が出来なかったわ。まさかの5時間も残業しちゃったよ......とほほ。エルちゃんと葵ちゃんはもう寝ちゃってるかな?
「ただいまぁー」
「楓お姉ちゃんおかえり〜」
「葵ちゃんむぎゅう♡ エルちゃん寝ちゃった?」
「うん、苦しいから離れて! 全く......楓お姉ちゃん今日も帰り遅くなるって言ったらね......エルちゃんが泣いちゃって大変だったよ〜」
「ううっ......エルちゃんには最近寂しい思いさせちゃってるわね」
「仕方無いよ。お仕事忙しいんだから......私もお仕事の合間にエルちゃんの事を見てるけど......相手してあげれない時が最近多いかも」
これは由々しき事態ね。エルちゃんに愛情をたっぷり注いであげると誓ったのにお仕事で構ってあげれないと言うのは私の言い訳になるわね。
このまま愛情不足のまま成長しちゃったら、エルちゃんがグレてしまう可能性がある。エルちゃんがヤンキーにならないように私がお姉ちゃんとして頑張らなくちゃね!
「ご飯温めるからお姉ちゃんは先にお風呂入って来て」
「うん、ありがとね。今日も疲れちゃったよぉ」
さっさとやる事済ませてエルちゃんとぴったんこしながら一緒に寝よう。エルちゃんもお姉ちゃん成分が必要なお年頃だからね♪
―――――――――
「おお! 今日は葵ちゃんの手作りカレーだ♡」
「冷めないうちに食べて」
「頂きます〜♪」
最近葵ちゃん料理上手くなって来てる。家事もさりげなくこなして、葵ちゃんのお嫁さんスキルが圧倒的に私より高いわね。私も葵ちゃんを見習わないと行けないかな......
「お姉ちゃん、今日は色々あったよ」
「あぁ、例の女子高生さんだよね?」
「うん、雨宮紗夜ちゃんと言う子でね。凄い真面目で良い人だったよ〜今日1日エルちゃんの事面倒見てくれてね♪」
「良いな〜女子高生......萌えるわね」
「ちょっとお姉ちゃん? 女子高生に手を出すのは流石に不味いからね? そこの所は分かってるよね?」
「大丈夫だって〜冗談だよ」
「怪しい......」
葵ちゃんは前々から手厳しいですが、最近はエルちゃんまでもが怪しげな目で私の事をじっーと見つめてくるのですよ? まあ、可愛いのでむぎゅうとしてますけどね♪
しかも何処で覚えたのか分かりませんが、不倫と言う言葉まで覚えて、私の帰りが遅い日には【かえでねーたん! おそいの! ふりんはダメなの!】と言う始末よ? 私はこう見えて一途な女なのになぁ......まあ、恐らくエルちゃんはちゃんとした意味を分かって無いのだと思いますけどね♪
「それとね、エルちゃんがテレビ番組の【初めてのおつかい】に感化されたのか1人でお使いに行きたいって聞かなくてね」
「え? エルちゃんが1人でおつかい? エルちゃんにはまだ早いわよ。そんなの絶対に駄目だよ」
「まあそう言うと思ってたよ。でもね、エルちゃんも何かお仕事がしたいんだって。多分エルちゃんは、私とお姉ちゃんがお仕事してるのに自分だけ何もして無いと言う事に後ろめたさみたいな物を感じてるんじゃないかな?」
「ええ......エルちゃんはまだ幼いからね。沢山寝て食べて、遊んだり勉強するのがエルちゃんのお仕事だと思うんだけどなぁ」
エルちゃんも色々と考えて気にしてたんだね。だけど、エルちゃんが1人でおつかいは流石に危ないわ。初めてのおつかいと言うテレビ番組は、ちゃんと安全が担保されているからこそ実現出来ている事。現実はそう甘くはないわ。
誘拐や怪我、更には不慮の事故に巻き込まれる可能性だってある。これはお姉ちゃんとしても到底見過ごせる物では無いけど......でも、エルちゃんがやりたい事をさせてあげたいと言うのも私の本音。
「でも、エルちゃんがあそこまでこれがしたいと言うのも珍しいよね。私もあれこれ考えて見たけど、おつかいを1人で行かせてあげるのも良いんじゃないかなって」
「エルちゃんがやりたい事は極力やらせてあげたいとは思うけど......エルちゃんの身が心配なのよね」
「まあ、そうだよね......エルちゃんは危なっかしい所があるからね」
エルちゃんの意思を尊重して、1人でおつかいをさせてみようかしら......もし、おつかいをさせるとしたら人の少ない平日? お仕事の方は早く終わらせて、その日は有給を取ってエルちゃんにバレないように後ろから尾行するか。それとも確実に私が休みを取れる日曜日にするか。土曜日だと休日出勤の可能性が僅かながらあるし......いっその事、私と葵ちゃん、エルちゃんの3人でお買い物に行くか......あ、それだと意味が無いわよね。
「んん......葵ちゃん、今度の日曜日にエルちゃんに1人でおつかいさせて見る?」
「お姉ちゃんが良いなら私は異論ないよ。エルちゃんが安全に買い物行けるように私達がサポートしてあげれば良いと思う。」
「そうね、エルちゃんにバレない様に陰ながらこっそりとサポートして......それなら前もって色々な人に根回しをする必要があるわね」
「じゃあ、キララさんに相談してみようよ」
「そうね、キララさんなら頼りになるからね♪」
私の方でもエルちゃんの服にはこっそりとGPSを仕込ませて、高性能のドローンも10機くらい用意して、上空のあらゆる角度からエルちゃんの事を見守る......お金はいくら掛けても良いわ。エルちゃんの安全の為なら金額何て関係無い。
「良し、エルちゃんが安全におつかいが出来るように色々な方に協力を依頼してみよう。商店街の人達にも根回しをした方が良いわね......後、明美や奏さんにも協力してもらおうかしら♪」
「何だかお姉ちゃん凄いノリノリだね」
「うふふ♡ いつかはエルちゃんも1人で買い物をする日が来るわ。これも勉強の一貫として、エルちゃんにやらせてあげるの♪ エルちゃんがおつかいに成功したら、沢山褒めて愛でてあげないとね♡」
「そうだね♪ 良し、私もその日は仕事をオフにして、エルちゃんの事を陰ながらサポートしよ♪」
善は急げと言うけど、今日は疲れたからご飯食べて私も寝よう。詳細についてはリモートでみんなと話し合えば良いかな。
「あ、そうだ。お姉ちゃん、これ見てよ」
「ん? これは......え?」
A4サイズの紙に平仮名で【こんいんとどけ♡】と鉛筆で書いてあるわ。拙い文字だけど、これは間違い無くエルちゃんが書いた字に違いないわ!
「最近エルちゃんも本やテレビで色々な事を覚えてるみたいだね。エルちゃんが私にどうすれば結婚できるの?って聞いて来て、婚姻届とかも必要だよね〜って軽いノリで言ったらエルちゃん真剣に考え始めちゃってね♪」
「うふふ......エルちゃんは本当に可愛いわね♡」
「そうだね♡ 将来は楓お姉ちゃんと結婚したいんだって〜お姉ちゃん良かったね♡」
「思わずニヤニヤしちゃうわね♪ この場合だとどちらがお嫁さんになるのかしらね♪」
エルちゃんたら......♡ 今は幼いからお姉ちゃんLoveかもしれないけど、高校生くらいになったらきっと異性の男の子が良いとか言うんだろうね......幼い子の冗談として受け取って置こうかしらね♪
「お姉ちゃんここ見てよ♪ お嫁さんの欄の所に平仮名でかえでねーたんと書いてあるよ」
「あらあら、私がお嫁さんでエルちゃんが夫なの? うふふ♡」
このエルちゃんお手製の婚姻届を見ると何度も消しゴムで消した様な跡が残っています。きっと、頑張って作ったんだろうね♪ 何だか胸の奥がほっこりとして来ましたよ♪
「良し、私の判子でも押して置こうかしらね♪」
「お姉ちゃん、これで他の女性とは浮気出来なくなっちゃうね〜くすくす」
「もう、私は一途な女よ? 一番好きなのは、エルちゃんと葵ちゃん何だから♡」
「ええ〜ホントかなぁ? お姉ちゃん目を離すと直ぐに女の子をベッドに連れ込んでそうだもん」
今日は葵ちゃんが何だか小悪魔さんに見えてしまいますね♪ 葵ちゃんも日が経つに連れて、あざとさや可愛さが日々進化しています。可愛い妹を2人も持つと姉は気苦労やら色々と大変ですよ♪
「んん......かえでねーたん?」
「あらぁ♡ エルちゃん起きちゃったの?」
やばい、寝ぼけてるエルちゃんが超絶可愛いわ! 暖かそうな熊さんの着ぐるみパジャマを着ているのも最高♡
「エルちゃんただいま♪ お姉ちゃんの膝の上においで♡」
「ぐすんっ......おそいの!」
「よしよし♡ 遅くなってごめんね〜よちよち♡ そんなおめめウルウルさせちゃって〜お姉ちゃんの事好きなんでちゅか?」
「んみゅ!」
葵ちゃんも暖かい目でエルちゃんを見ていますね。私を見つけた途端にトテトテとやって来て私の身体にピトッと抱き着いて来ました♡ あぁ♡ エルちゃんの着ているモフモフの服も相まって抱き心地が最高♡
「ふにゅ......」
「エルちゃんお眠なら無理しなくて良いよ♪ さて、お姉ちゃんとお寝んねしよっか」
「すぅ......すぅ......」
「あ、もう寝ちゃった♪」
「お姉ちゃん、ご飯食べたら私達も今日は寝よう」
「そうだね♡ 我が家の可愛いお姫様をベッドに連れて行かなくちゃ♪」
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