2章

第77話 成長したエルちゃん

 



 ◆かえで視点




「へくち.......! 外は冷えるわね、そろそろお家に入ろうかしらね」



 我が家にエルちゃんを迎えてから、もう半年が経過しようとしています。あれから、エルちゃんも少しずつ成長をして、今では拙いながらも何と言葉を喋る事が出来るのです! エルちゃんはただでさえ天使の様に可愛いのに、最近ではその可愛さに更に磨きが掛かりました。


「んぅ? かえでねーたん、らいじょうぶ?」

「うふふ♡ 大丈夫でちゅよ〜そろそろお家の中に入りましょうか♪」

「んみゅ!」


 今日はエルちゃんと2人で、我が家のお庭でボール遊びをしておりました。季節も12月に入り、外の風も冷たく暖かい格好をしないと過ごせない時期となりました。


「エルちゃん、ボール遊び楽しかった?」

「んみゅ! たのちかったよ!」

「あらあら、エルちゃんは元気でちゅね〜♡ よし。お姉ちゃんが高い高いしてあげるね♡」

「わ〜い♡」


 そう、この時私はエルちゃんを高い高いをして上げるために抱っこしたのですが、体勢が悪かったのか腰を思い切りやらかしてしまったのです! 


「うぐっ.......!?」

「んぅ? かえでねーたん?」

「はひっ.......え、エルちゃん.......動かないでそのままにしてて.......」


 こ、これは.......もしかしてぎっくり腰? まだ私は23歳よ? ぎっくり腰って、若くしてなる物なのかしら? でも、腰に迸る電流が駆け巡るような猛烈な痛み。これはかつて経験のした事の無い痛みだわね。涙が出そう.......と言うかもう出てる。


「かえでねーたん!?」

「え、エルちゃん.......ごめんね。ちょっと葵お姉ちゃんを呼んで来てくれるかな?」

「あい!」


 エルちゃんはトコトコと玄関の方へと向かい、葵ちゃんの事を呼びに行ってくれました。私はあまりの痛みにその場で固まることしか出来ません。まさか、こんな事になるとは微塵も思って無かった.......とほほ。


「ちょっ!? お姉ちゃん大丈夫!?」

「あ、葵ちゃん.......私、もう駄目かも」

「お姉ちゃん落ち着いて、流石に外は冷えるから、リビングまで頑張って動ける?」

「うん.......」


 私は葵ちゃんに肩を貸して貰いながら、痛みと格闘をしつつ何とかリビングの方へと辿り着きました。道中エルちゃんが泣きそうな顔をしながら、私の後ろを着いて来ていました。


「お姉ちゃん、何か重い物でも持ったりした?」

「いいえ、エルちゃんを抱っこして高い高いして遊んで上げようと思っただけなの.......」

「もう、お姉ちゃんったら。今日はソファで安静にして横になってて。私が今から薬と湿布を買いに行くから」


 本当に情けないお姉ちゃんで、ごめんなさい。とりあえずエルちゃんがさっきから泣きそうな顔をしてるので、大丈夫だと言って落ち着かせてあげましょう。


「ぐすんっ.......かえでねーたん、ちんじゃうの?」

「よしよし♡ 大丈夫だよ♪ 少し腰を痛めちゃっただけだから」

「ボクがなでなでしゅれば、なおりゅ?」

「はうっ.......♡」


 何故かエルちゃんは、自分自身の事をボクと言うのです。僕と言う言葉を教えた事はありませんが、気付けば一人称が僕になって居たのです。金髪ロリエルフで、ボクっ娘.......エルちゃんが、私の性癖を更にねじ曲げようとしています! 腰の痛みよりも前に、エルちゃんの可愛いさにやられて天に召されてしまいそうです! あら? もしかして、あそこに見えるのが三途の川なのかしら?


「かえでねーたん.......これあげゆ!」

「え、これはエルちゃんが楽しみに取ってたおやつじゃ.......」

「んみゅ!」


 エルちゃんがポケットから、ぺろぺろキャンディーのエナジードリンク味を取り出して私にくれると言うのです。お菓子を食べたら治る訳では無いですが、エルちゃんの好意を無下にする事は出来ません!


「エルちゃん、ありがとね♡ 今、葵お姉ちゃんが、お薬を買いに行ってくれてるから大丈夫だよ♪」

「んぅ.......よちよち♪」

「はぅ.......♡ エルちゃん、いきなりどうしたの?」

「いたいのいたいの〜とんでぇけ!」

「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!?」

「かえでねーたん!?」


 もう今すぐに抱きしめてあげたい! 本当にエルちゃんは私達の心を揺さぶるのが本当に上手です。私の腰が元気であれば、今頃エルちゃんを押し倒して、ムギュっとして、チュッチュしてあげる所でしたよ! ですが、このままでは葵ちゃんが薬を買って帰宅する前に、エルちゃんの可愛いさにやられて、私が天に召される方が先かもしれません。これは由々しき事態です。しかも、舌っ足らずで喋るエルちゃんがとても愛らしくて、思わず漏らしてしまいそうです! 


「エルちゃん、お姉ちゃんは大丈夫だからあっちで遊んでて良いんだよ?」

「やっ! かえでねーたんが、さびちそうだからボクがいっちょにいるもん!」

「うふふ.......♡」


 本当にエルちゃんは成長しましたね。まだまだこれから覚える事は沢山ありますが、出会った当初の事を思えば天と地の差です。沢山苦労はありましたけど、これからもエルちゃんにお勉強を根気よく教えて行きつつも、時期がくれば幼稚園に入園させようと思っています。


「本当はエルちゃんが、甘えたいだけ何じゃないの〜?」

「ち、ちがうもん! しょんなことないもん!」

「じゃあ、お姉ちゃんと今日から夜は別々のお部屋で寝る?」

「ふぇ? なんでしょんなこというの.......ぐすんっ」

「あぁ! ごめんごめん! 今のはお姉ちゃんが意地悪しちゃったね♡ お姉ちゃんはエルちゃんの事が大好きだから一緒に寝たいよ♡」

「んみゅ!」


 近頃はエルちゃんが更に甘えん坊さんになってしまいましたね。私や葵ちゃんにそらべったりですよ〜でも、私に甘える方が頻度は多いような気がしますね。嬉しい限りです♡


「エルちゃん、お姉ちゃんの所においで〜」

「あい!」

「ディフフ♡ エルちゃんは素直で良い子でちゅね〜良い子にはお姉ちゃんが腕枕してあげるよ〜」


 エルちゃんは喜んで私の横へと寝転がって、身体をスリスリと擦り付けるように甘えて来ました♡ 葵ちゃんが帰ってくるまで、エルちゃんと他愛ないお話をしながら時間を潰しましょう♪


「エルちゃん、もうすぐクリスマスだね♪」

「んぅ? くりしゅます?」

「まあ、簡単に言うと良い子にしてる子は、サンタさんが欲しい物をプレゼントしてくれるんだよ♪」

「ちゃんたさん?」

「うふふ♡ サンタさんね♪」


 もう可愛いしゅぎる! エルちゃんもうやめて! 私の体力は最早ゼロだよ! あ、大人しくしとかないと腰が悪化しちゃう.......


「クリスマスの日はご馳走とケーキが食べれる日何だよ♪」

「むむ!? けーき!」

「ちょっと、エルちゃん落ち着いて!?」


 エルちゃんが目をキラキラと輝かせています。本当に食べ物の事になるとエルちゃんは嬉しそうに喜びますね♡


「エルちゃんも日頃良い子にしてるし、今まで勉強も頑張って来たから、きっとサンタさんがプレゼントをくれるよ♪」

「しょうなの? ボクえらい?」

「うんうん♪ 良い子ですよ〜♡」


 クリスマス当日は、豪華なご飯を用意して大きなケーキも準備しよう♪ エルちゃんが目を輝かせるような凄いクリスマスにするんだからぁ♪ あ、ボンキホーテでクリスマスのコスプレ衣装も買って置かないと行けないわね。楓サンタがエルちゃんが寝ている間にプレゼントを渡すの♪ 今から想像するだけで楽しみね♪


「エルちゃんは何か欲しい物あるのかな?」

「ん〜かえでねーたん!」

「え? 私? いつも一緒に居るのに?」

「ボクね! かえでねーたんとけっこんしゅるの!」

「あらまぁ♡ お姉ちゃんと結婚だなんて♪」


 エルちゃんにこんなに好かれて、私は幸せものですよ♡ 女の子同士で、もし結婚出来るならですけどね♪ まあ、エルちゃんはきっと家族として、私の事が好きだと言いたいだけでしょうけどね♪


「かえでねーたん、だいしゅき♡」

「ええ〜お姉ちゃんは他に好きな人が居るんだけどなぁ〜」

「ふぇ!? そんなのや! かえでねーたんは、わたしゃないもん!」


 まあ、嘘ですけどね♪ だって、素直で純粋なエルちゃんを弄るのが可愛くて面白いんだもん♡ 頬っぺたをリスのように膨らませているエルちゃんが可愛いです♡


「うふふ.......嘘だから心配しないで♪」

「もう! いじわるはメッなの! うしょつきは.......えと.......んと.......わすれちゃった」

「嘘つきは泥棒の始まり、と言いたかったのかな?」

「んみゅ! しょうなの!」


 我が家の天使ちゃんは今日も可愛いです♡

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る