第44話 二宮マッマからの連絡

 

 ◆かえで視点



 私達は現在、リビングの机の上に通販で購入したお勉強道具のセットを広げております。もちろんエルちゃんの座っている場所は私の膝の上です。何故そうしたのかと言うと、私がエルちゃんを抱きたいだけです♪ 


「エルちゃん〜今からお姉ちゃんとお勉強しますよ〜」

「んにゅ……?」

「じゃじゃ〜ん! ネットで注文して買ったお勉強道具一式セットだよ♪」


 エルちゃんが物珍しそうにノートや鉛筆を触っております。エルちゃんの長いお耳がピクピクと動いてます♪ ぺろぺろしたくなりますね♡ ひらがな表や消しゴム、鉛筆削りなど種類は豊富です♪ エルちゃんの為に通販で色々買っちゃいました♪ エルちゃんの為なら、私は全財産使っても後悔はしません。私の財産……宝物はエルちゃんや葵ちゃんなのだから。後は新しく家族になった白猫のタマちゃんも♡


「んぅ……? ――――――?」

「これはノートって言うんだよ♪ これが消しゴムと鉛筆で、この鉛筆を使って紙に字を書いて、間違えたりした時はこの消しゴムでこすって消すんだよ〜」


 まずは私の名前と葵ちゃんのお名前を紙に書いて……


「お姉ちゃん、エルちゃん苦しそうだよ? お姉ちゃんの胸が大き過ぎるから、机とお姉ちゃんの胸の間にエルちゃん挟まっちゃってるよ」

「あぁ! ごめんねエルちゃん」


 これは不覚でした。紙に字を書こうと身体を近付けてしまったので、気を付けないと行けないですね。


「お姉ちゃん、エルちゃんを私の膝の上に乗せるよ。さぁ、エルちゃんをこっちへ」

「うぐっ……エルちゃんの温もりを感じたいお年頃なの!」

「いつもお姉ちゃんばかりずるいよ! ほら、エルちゃんもお胸が大きい人より少し小さい方が良いって言ってるよ!」

「葵ちゃんも胸大きいよ!」


 このままではエルちゃんを巡って、我が家で戦争が起きかねません。第一次エルちゃん争奪戦が! でも私は争い事は嫌いです。なのでこうしましょうか。


「分かった、葵ちゃんこうしよう。エルちゃんの温もりを分かち合いましょ」

「え? どういうこと?」

「葵ちゃんが私の膝のうえに座って、エルちゃんが葵ちゃんの膝の上に座る……私は1番下で」


 こうすれば合法的に葵ちゃんやエルちゃんを後ろから纏めて抱ける……ディフフ……


「お姉ちゃん……それ、お姉ちゃんが私達を抱きたいだけじゃ……」

「そ、そそ……そんなことないよ!? 決して、エルちゃんと葵ちゃんを纏めて抱ける……ごほんっ、ボディタッチ出来るとは微塵も考えてないからね!? あくまでこれは、エルちゃんのお勉強が目的何だから♪」

「お姉ちゃん……本音がダダ漏れだよ?」


 葵ちゃんの目が何故か、私を可哀想な人を見るような目で見つめております。お姉ちゃんは悲しいですよ……


「やれやれ、じゃあこうしよう。向こうのソファーに机もあるからエルちゃんを真ん中に座らせて、私がエルちゃんの左側に座って右側にお姉ちゃんが座る。そうすればエルちゃんに密着できるし、温もりを感じられるよ!」

「おけ! それで行こう!」

「目的はエルちゃんのお勉強何だから、イチャイチャするなら夜でも何時でも出来るでしょ! お姉ちゃんはいつも……」

「はい、ごめんなさい……」


 葵ちゃんに怒られてしまいました。ほんの少しだけ、また私の中に眠る獅子が暴れる所でした。私の心の中には女の子とイチャイチャしたいと言う欲望の獅子が眠っているのです。いつ解き放たれるかは分からないのですよ。


「――――――!! めっ!」

「ぷぷっ……お姉ちゃんエルちゃんにも怒られてる」

「はぅ……♡ エルちゃん♡」


 葵ちゃんがクスクスと笑いながらソファに座って、勉強用具を広げて準備をしています。私は発作を起こしそうでドキドキしています。エルちゃんが可愛すぎて、心肺停止するかもしれません。今度、自宅にAEDを設置する検討をしないと行けないかもしれませんね。通販で買っておこう……そして、人間はこうして【不治の病】ロリコンになって行くのですね……


「あれ? お姉ちゃん……これは何かな?」

「あっ……」


 そうだった……エルちゃんのお勉強道具注文した際に良さげな百合同人誌を漁って、購入したのをすっかり忘れていました。


「まさか、Rー18の薄い本をお勉強に使うの? こんなやばそうな本をエルちゃんのお勉強に?」

「ち、違うよ! それはエルちゃんがもう少し大きくなったら……ほら、数学、理科、社会、国語、百合、英語等があるでしょ? 百合も立派な科目だから大丈夫♪ てへぺろりんこ♪」

「でしょ? じゃないよ! お姉ちゃん……ごまかしても駄目だよ! これはお預けです!」

「そ、そんなぁ……」


 ふふっ……葵ちゃんは甘いね。私が買った百合同人誌はまだ他にも沢山あるんだよ♪ ディフフ……



 ◆あおい視点



 ちょっとお姉ちゃんに強く言い過ぎたかな……? お姉ちゃんは、暴走し始めるとブレーキが効かなくなっちゃうのです。私はお姉ちゃんの事は勿論、超が付くほど大好きですよ♪


「お姉ちゃん! エルちゃん! お勉強始めるよ〜」

「は〜い♪ エルちゃん? 向こうでお勉強しますよ〜♪」


 お姉ちゃんがエルちゃんを抱っこして、ソファの所までやって来ました。エルちゃんは何やらあわあわと不安気な表情でソファの真ん中に座ります。まあ、お姉ちゃんの気持ちも分かります。でも、私までここでロリコンになってしまったら、誰もお姉ちゃんの暴走を止めるものが居なくなってしまいます。私は一ノ瀬家の次女として、しっかりしなくては行けません。エルちゃんの姉なので。


「よし、エルちゃん♪ まずはこの紙に書いている文字は私と葵ちゃんの名前だよ〜」

「――――――?」

「難しいかなぁ? 私の名前はかえでお姉ちゃんだよ♪ 

「か……えりゅ……ねーたん?」

「惜しい! エルちゃん、それは紙。かえでお姉ちゃんは私だよ♪」


 これは……やはり苦労しそうですね。1から言語のお勉強をするのは容易ではありません。でもこれは、エルちゃんの将来の為なのです。乗り越えなくては……お姉ちゃんはエルちゃんを甘やかしてしまうので、時には厳しさを持って私が接っしてあげなければ行けないのかもしれません。今は少しずつ教えて行きましょう。


「エルちゃん、私の名前は葵お姉ちゃんだよ♪」

「……んぅ? ねーたん……ねーたん! うにゅ? ねーたん?」

「エルちゃん違うよ〜そっちは変態……じゃ無かった。楓お姉ちゃん。私が葵お姉ちゃんだよ♪」

「葵ちゃん? 今、私の事変態って……」

「気の所為だよ」


 しまった、無意識で楓お姉ちゃんの事を変態って呼んじゃった。まあ、楓お姉ちゃんが変態と言うのは、本当の事なので間違いでは無いのですが……


「ごほん……お姉ちゃん、どういう風に教えて行った方が良いかな?」

「ん〜そうね……私も人に教えるのそんな上手くないから……」

「とりあえず、まずはエルちゃんに字を適当でも良いから書いてもらう?」


 私も人に教えるのは上手くないので、自信があんまりありません。暗中模索……とりあえずやってみましょう。やらない限り何事も前には進みませんから。


「エルちゃん、このノートにまずはお絵描きでもしてみよっか♪ 鉛筆の持ち方はこんな感じかな。真似して見て♪」

「――――――!」

「おおっ!? そうそう! エルちゃん鉛筆の持ち方上手だね!」

「葵ちゃん! うちの妹は天才かもしれないわ! エルちゃんならきっと大丈夫よ!」


 思った以上に鉛筆の持ち方がエルちゃんは上手でした。最初は鉛筆の持ち方から苦戦すると思って居たのですが、物覚え良いのかもしれませんね。


「――――――!!」


 何と言うことでしょう……エルちゃんの笑顔が眩しいです。私とお姉ちゃんも思わず絶句してしまいました。何なんでしょうか……この気持ちは……胸がドキドキするような…? 母性? 真の可愛いは人を狂わせてしまう何かがあるのかもしれません。エルちゃんを甘やかしてあげたくなっちゃいます。私の妹は世界一可愛いです♡


「タタタタ〜タンッタタン♪」

「あれ? 電話だ。お姉ちゃんエルちゃんの勉強見てて」

「は〜い♪」


 私はリビングを出てから電話に応答しました。相手が二宮まーや……二宮マッマだったので、お仕事のお話しかと思いましたが、どうやら違うみたいです。


「やっほー! こんばんみー! 謎の美少女ですぅ♪」

「二宮マッマお久しぶりです♪ どうしたんですか?」

「まあ、突然何だけど〜葵ちゃんのお家にお邪魔しても言いかなぁ? 遊びに行きたい! それに話したい事もあるし♪」

「あぁ、そういう事ですか♪ 良いですよ〜いつですか?」


 この人に会うのは久しぶりです。二宮マッマは西園寺モモネちゃんのキャラクターデザインを担当したお姉ちゃんと同族の御方です。ショタと幼女が大好物な変態さんです。私も初対面で会った時は、真面目そうな人だなと思いましたが、第一声がおっぱい揉んで良い?とか抱かせてくれ!とかだったので、この人はお姉ちゃん2号です。私の周りには変わった人が集まる傾向がある気がします。


「来週の土曜日とかどう?」

「あぁ、良いですよ〜どうせ今活動休止中なので」

「やったぁ! また連絡するね♡ 噂のエルちゃんにも会って、ハグしてチュッチュしたいし〜♪」


 あらあら、何となく予想はしていた事ですが、エルちゃんは人気者ですね♪ 二宮マッマに襲われる何て、エルちゃんも可哀想……ごほんっ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る