ドワーフの国
それから更に数日。歩き続けたキコリたちが到着したのは、ゴツゴツした岩山だらけの岩場だった。
草1つ生えず、またこれからも生えそうにない……そんな不毛の場所だ。
しかしそんな場所に、何やら多数の人間がいた。キコリよりも背が低く、しかし横幅が大きく皆筋肉質。
更に特徴的なのは、男は全員が髭もじゃでありツルハシを持って雄たけびをあげながら岩の塊のようなモンスターへと向かっていた。
「なんだアレ……亀、か?」
「そう見えるわね」
そう、その岩の塊……それは巨大な亀にも似ているモンスターであり、種別としてはゴーレムに類するものだと思われた。
全身が頑丈そうな岩でできており、背中に背負った岩山の如き甲羅から突き出た水晶柱のような形の金属から光線が絶え間なく発射されている。
そして人間のほうはどうやら、ツルハシでその金属を掘り出すことを狙っているようだった。
「モンスターは……たぶんデモンだな」
「え? 分かるの?」
「レルヴァと繋がったせいか、そういうのがちょっと分かるようになった。凄く画一的っていうか、同一人物が複数人存在しているような気味悪さっていうか」
「それは我々の固有能力の1つですね。魂の形を測定しているのだと思います」
「そうなのか」
ルヴの説明にキコリは納得したように頷く。確かにレルヴァと繋がってから、キコリがそれまで知らなかった別の能力がキコリの中に根付いている。
恐らくそれは破壊神ゼルベクトのものなのだろうが……使えるものは使うべきだとキコリは割り切っている。
「しかしまあ、アレってもしかして、採掘でもしてるのか?」
デモンモンスターに乗っかってツルハシを振るう人間たちは、それ以外には興味がないように見えるし、光線で吹っ飛んで動けなくなったものを後方に運んだりと支援体制もしっかりしている。
つまり……どう見ても、あの亀のデモンモンスターから金属を採るために集まっているとしか思えないのだ。
そして、キコリは「とあること」に注目していた。あの人間たちには見覚えがあったのだ。
「……ドワーフだな、あれ」
「そうなの?」
「ああ、ニールゲンにも少しだけど居たぞ」
「そうだったかしら。覚えてないわ」
オルフェは人間は全部同じに見えるのだろうが、キコリは知っている。
あれはドワーフと呼ばれる種族だ。イルヘイルで読んだ「種族辞典」の内容も覚えている。
力と体力、集中力に優れる長命種であり、ドワーフ以外の全てを見下す傾向がある。
全体的な特徴として鍛冶に優れ、金属を扱わせたら右に出るものはない。
……とまあ、だいたいこんな感じだ。
「つまり此処はドワーフの国の近くってわけ、か」
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