とんでもない大騒ぎ
そして、数日後。当然だがフレインの町はとんでもない大騒ぎになった。
まあ、本当に当然の話だ。ある日突然、大小様々なドレイクの群れが走ってくるのだ。
フレインの町への侵攻かと思われても無理はない状況である。
町から離れた場所に「布陣」したドレイクたちから降りて向かってきた1人の男……つまりキコリに、慌てて飛んできた衛兵のバードマンたちは「あっ」と声をあげる。
「どうも、今戻りました」
「戻りましたじゃないぞ!? 何だアレは!? なんでドレイクの群れが!」
「なんでって……移住希望者を連れてきただけなんだが」
「だけってお前なあ……ドレイクの暴走が始まったかと思ったぞ」
「いや、だからちゃんと離れた位置で待機して、こうして先触れをだな」
そう、キコリとしてはこうして事前に自分が使者となることで敵意がないことを示していたつもりだ。
つもりだが……バードマンの衛兵は、その手でキコリの背後を指差す。
そこにはグレートドレイクを中心にドレイクの一族が勢ぞろいしているが、それが何だというのか?
大分距離は離れているし、問題ないはずなのだが……。
「普通な? 町を挟んでああいうのが布陣するのは怖いんだよ」
「そういう差別は良くないと思うぞ」
「おう、正論だな。今夜お前が泊まる宿を衛兵隊で突然囲んでも同じこと言えるんならな」
「いや、それとこれは」
「問題ないって先触れも出してやるぞ。部屋の扉を叩いてな」
「……悪かったよ。でも分かるだろ? 転移門の先じゃ何か起こっても気付けないんだ」
キコリが言えば、バードマンの衛兵も仕方なさそうに溜息をつく。
「まあな。ここ最近の変化を思えばそうなるのは理解できる。できるけどな? 大パニックだぞ、町」
「悪かったって。俺もちょっと前までなら確かに凄い怖かったと思う」
「ああ。よーし、お前ら! 町回って移住者だって伝えてこい!」
「「「了解!」」」
そのバードマンの衛兵の命令に従い、他のバードマンの衛兵たちが町を飛び回っていく。
どうやら目の前のバードマンが衛兵隊長か何かなのだろう。そんなことを考えるキコリに、衛兵隊長は「さて」と肩を鳴らす。
「確かドンドリウスの説得に行ったと執事殿から聞いていたが。なんでドレイクを連れて帰ってくる羽目に?」
「あー……それなんだが。ドンドリウスの説得に失敗した」
「ん?」
「失敗した。ていうか敵対した。アイアースが言うには、ドンドリウスもどうにもおかしいらしい。で、今後のことも考えてドレイクを連れてきたんだ」
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