もっと出会うと思ったんだけどな

「仲良くか。キコリは面白いな」

「そうか? 今の面白いところあったか?」


 キコリのそんな問いにドドは「ああ」と答えるが……まあ、実際面白いだろうとオルフェは思う。

 キコリにはオークのドドに対する偏見のようなものは一切なく、それは通常有り得ない。

 他種族など、利害関係以外で信用できないのが普通なのだから。


「ほら、遊んでないでサッサと行くわよ」


 しかしまあ、今のところドドにおかしなところはなく、キコリに対して敵対的でもない。

 ただ、多少のキコリへの警戒はある……といったところだろうか。

 自分が見ていれば問題のない範囲だとオルフェは考え、実際その通りであった。

 攻撃編重のキコリと防御に長けたドド、そして魔法での攻撃や回復担当といったオルフェのトリオは予想以上に上手く機能し、ホワイトアーム程度であれば何の問題もなく速攻撃破が出来ていた。

 それ自体は何の問題もない、のだが。


「おかしいな。ロックドールがあれ以来1度も出てこないぞ」

「ドドに会う前に戦ったという石人形か」

「ああ。もっと出会うと思ったんだけどな」


 そう、ロックドールに1度も出会っていないのだ。もっとこの場所に生息しているモンスターだと思っていただけに、キコリとしては肩透かしではあった。

 だが同時にキコリは「ならば何故あんなところに?」とも考えてしまっていた。

 まるで見張りのように居たが、ドドの村とは何の関係もない。だから、ドドの村の襲撃前後に現れたのは確かなのだろう。

 ネクロマンサーの影響で産まれたのであれば当然もっといると思っていたのだが……違うのだろうか? それがキコリには判断がつかない。

 そして何より、今のところ山の下に降りる道も見当たらない。

 この切り立った崖をオークのアンデッドを連れて降りたとも思えないので、道は間違っていないだろうが……あまりにも当てがない。

 そうキコリが考えた矢先、視線の先に「何か」を見つける。


「ん? アレは……」


 転移門。別のエリアへと繋がるゲートが、そこにはあった。

 ここまでの間でネクロマンサーには会わなかった。

 ということは、ネクロマンサーはこの転移門を通ったか、あるいは予想に反してこの下など見えない崖を降りていったか。そのどちらかということになる。

 たとえネクロマンサーが断崖絶壁を降りていける技能の持ち主だったり、あるいは空を飛べたとしてオークのアンデッドたちまで運べるものだろうか?

 キコリはそう考え魔法のプロたる妖精であるオルフェへと視線を向ける。


「下にアンデッドを連れて降りるのは無理だと思うわよ。ネクロマンサーが飛べたとして何往復するんだって話よ」

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