アレも魔法みたいなもんだしな
巨大になる。それは一見すれば悪手に思える。
キコリの「ブレイク」を散々受けていれば、出てくるはずのない思考だからだ。
だが、キコリは気付いていた。
「やっぱり、そう来るか……」
「あー、やっぱりダメなの?」
「たぶんな。魔力の総量で軽く超えられてる」
そう、ブレイクは籠めた魔力よりも相手の魔力が高ければ、威力が大幅に減衰する。
そしてソイルレギオンが「たった1つ」に纏まった現在、キコリのブレイクは然程有効な手段ではなくなっている。
その上で、恐らくアレは「特別製」だろう。グングニルもミョルニルも通じないはずだ。
「貴様の手の内は知れた。全ての力を防御に結集し、その全てを弾いてくれよう……!」
「一々解説してくれるのは何なのかしらね」
「自信の表れだろ」
実際、こうなると手の打ちようがない。
キコリが攻撃力の増加を魔法に頼っている以上、それを防がれたらどうしようもない。
ないが……ならばどうするか。そこが問題だ。
勝たなければどうしようもない。そこは何1つ変わっていないのだから。
(たぶんだが、ドラゴンブレスでも賭けになる。アレも魔法みたいなもんだしな……)
ひょっとしたら競り勝つかもしれないが、そんな曖昧な予想を根拠に撃つわけにもいかない。
万が一通用しなければ、死ぬのはキコリだけではない。
自分達を踏み潰そうと襲ってくる金属巨人の足を躱しながら、キコリは必死で考えを巡らせる。
(どうする!? ブレイクを撃ってみるか!? 多少は壊せるかもしれない)
いや、ダメだ。ゴブリンやオークに撃つのとはわけが違う。
アレ等はサイズも小さいし痛みを感じるが、目の前の金属巨人にそんなものはないだろう。
多少壊したところで足1本壊すようなダメージでなければ、何の意味もない。
「どうした。さっきのブレイクとかいう魔法は使わないのか」
「俺の自由だろ!」
「そうだな。自由だとも。踏み潰されるのも自由だ」
(くそっ……分かってて言ってるな!?)
あれだけ撃てばブレイクが「どういう魔法」かはソイルレギオンにも理解できたのだろう。
今まで倒したもの全部がソイルレギオンなのだ。それだけ喰らえば嫌でも理解できるはずだ。
防御を固める。ただそれだけでキコリを圧殺可能なのが「ソイルレギオン」だ。
自身の組成を幾らでも組み換え可能だからこそ出来ることだ。
そういう意味ではグレートワイバーンよりも厄介な敵とすら言えるだろう。
「グングニル!」
隙をみてオルフェが放ったグングニルも、金属巨人の鎧に弾かれる。
「あー、もう! どうすんのよコレ!」
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