合わせよう

 オルフェに先導されるように、キコリは燃える森の中を走る。

 フレイムワイバーンたちは何もかもを燃やそうというのか、火を吐き森を燃やし続けている。

 妖精も空を舞い魔法を放っているが、フレイムワイバーンのほうが空中戦は上手なのか避けられてしまっている。

 ……そして、放たれる火に妖精たちが落ちていく。


「くそっ、一方的じゃないか! なんでだ!?」

「アイツ等は空を飛ぶために生きてるようなもんだからよ!」

「分からんけど分かった!」

「なら良し!」


 ミョルニルで斧を投げるにも、離れていてはダメだ。

 だからこそ、キコリは走って。

 ワイバーンを見つけると、オルフェが上空のフレイムワイバーンに指を向ける。


「アイスアロー!」


 生まれ出るのは、5本の氷の矢。

 それらは凄まじい速度でワイバーンへと襲い掛かるが、フレイムワイバーンはそれを上回る速度と機動で回避してしまう。


「あー、もう!」

「オルフェ!」


 ゴウ、と。地面に吹き付ける炎からオルフェを引っ張りキコリは回避する。


「オルフェ、次は俺もいく! 合わせよう!」

「策はあるのね!?」

「上手くいけばいいなってくらいだ!」

「上等! 合図は!」

「俺が魔法を使ったらすぐ!」

「オーケー!」


 止まっていれば焼かれる。

 だからこそキコリたちは動き回りながら、そう叫んで。

 キコリは、すっかり十八番となったその魔法を唱える。


「ミョルニル!」


 ドゴンッと。

 今までで最大の電撃が斧に宿る。

 それが斧の力なのかキコリの成長なのかは不明だが、今この瞬間は頼もしい。


「アイスアロー!」


 放たれた5本の氷の矢を、フレイムワイバーンは再び無茶苦茶な機動で回避して。

 だが、その翼を電撃を纏う斧が切り裂く。

 そしてその瞬間。斧から伝わる電撃が、フレイムワイバーンを襲った。


「勝機! アイスアロー!」


 そして今度こそ、フレイムワイバーンを5本の矢が串刺しにする。

 悲鳴をあげながらフレイムワイバーンは落下して。

 オルフェが「よっしゃー!」と腕を突き上げる。


「やるじゃない! 今のどういう理屈!?」

「避けそうな場所に斧を投げてみた。アイスアローに集中してるなら自分からぶつかるかもって思ってさ」

「は?」

「あの無茶苦茶な機動、そこから更に変化つけられそうにないだろ? いけるかなって」


 オルフェはキコリをじっと見ていたが……やがて「あ、そっか。こいつバカだっけ……」と呟く。


「え、な、なんだよ!」

「5つが6つになったところで変わるかバカ! でも上手くいったから良し! 次行くわよ!」

「え、ええー……?」

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