ショートショート
星ぶどう
猫電車
ガタンゴトンと揺れる電車の座席に、ケータは座って身体を固めていた。
何故ならこの電車、道で拾った謎の肉球型の紙切れを拾った直前に空からやってきた電車である。
この紙切れはなんと猫電車の切符だったのだ。
周りは猫ばかり椅子はマタタビで出来てある。
ケータはまさに借りてきた猫のように大人しくしている。
トラ、ぶち、白、黒、三毛、色々な猫が座席に寝そべったりあくびをしたり思い思いの行動をとっていた。
「切符を拝見にゃ」
太った猫の車掌がのっしのっしと歩いてくる。
他の猫はあの切符を見せていた。
「切符を拝見にゃ」
といいつつ車掌猫はケータの猫ほどの額にスタンプを押した。
「おっと、失礼間違えたにゃ」
太っちょ猫は今度こそケータの切符にはんこを押した。
「つぎは、刺身駅、刺身駅~」
刺身駅でかなりのにゃん数の猫が降り残っているのは小さな猫。
「つぎは~本屋前、本屋前」
あれ?っとケータは思った。
この本屋はケータの町にある本屋だった。
「初めてあった場所だにゃ」
ふと見るとその小さな猫はおととい死んでしまったケータの飼い猫の小さな時の姿だった。
この本屋はこの猫が捨てられてケータが拾った場所だ。
ケータは嬉しくなり頭をなでたり猫じゃらし(機内サービス)で遊んだりした。
「終点~終点~」
真っ白な光でケータは自分のベッドに横たわっているのに気づく。
夢だったのかな?
そう思いつつ朝食を食べに行こうと食卓についたらケータのお母さんが笑った。
「ケータ、おでこに何つけてるの?」
姿見を見るとあの肉球のスタンプがくっきりとついてあった。
猫電車また乗れるかな?
ケータはそう思うのであった。
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