伍の湯 ガス式お風呂♨にドボン
実家編を終えまして、伍の湯では、生活根拠地編をお送ります。
とは言っても、同じ市町村で、4か所もの貸家・アパート暮らしなんですけどね。
1か所目の、私が乳幼児だった頃のアパートは、記憶は全くありませんが、風呂無しのボロアパートで、両親は毎月、質屋通いだったらしいです。
で、2か所目、幼児~小学校2年生の頃は、貸家兼母の勤め先の事務所、という特異なものでした。しかも、父の勤め先が目の前の道路を渡って正面にあるという好立地。
此処での風呂は、ガス式の風呂でした。台所の一角にガス釜があって、マッチを擦って火種を作り、レバーを回して火を焚く、というものでした。
お湯が沸くと、当時、どこの家庭でもおそらく使っていたバスクリンを湯船に投入して、お湯を黄緑色にしました(よって、このエッセイのテーマカラーもバスクリン色にしています 笑)。
シャワーなんぞはもちろんなくて、洗髪も洗体も湯船のお湯を使います。私は、たいがい、父と一緒に入り、「肩まで浸かって100を数える」掟だったことを覚えています。稀に、母と入るときもありましたが、印象に残っているのが、エメロンシャンプーとリンスを母が使っていたことと、当時の母には腋毛があったことです。いつから、母が腋毛を剃るようになったのかは不明です。すでに故人なので、確かめる術がありませんし、今更、父にそのことについて尋ねるのもはばかります(笑)
当時のリンスは、風呂桶にキャップ一杯入れてお湯で溶かし、ザバーっと頭から掛けるタイプでした。その様子を湯船から見ていたので、腋毛の記憶となったと思われます。
で、3か所目のアパートが、新築の県営のアパートで、小2から高校3年生まで暮らした、想い出深い住まいです。間取りは、一応、3DKなのですが、キッチンがあまりに小さく、家族4人で座っての食事は不可能なので「3dk」という小文字スタイルが妥当なところだと思います。
此処では、四畳半ながら初めて自室を与えられたので、当初はとてもうれしかったことを覚えていますが、いかんせん、狭い間取りなので、私の部屋には、家族の衣服ダンスも置かれてしまい、私が年頃になっても、家人はふすまを一応ノックするけれど、私の返事を待たないでズカズカ部屋に入ってくるような無作法無遠慮な家庭環境でした。
風呂は、前宅と同じガス式でしたが、当時、一世を風靡したバランス釜の風呂でした(画像を近況ノートに貼っておきます)。
つまみを真ん中に合わせて、20秒くらい待ちます(寒い冬場は1分近く待ちます)。満を持してつまみを左に回すと「ブワっ」という音と共にガスが点火して水を沸き始めます。それから待つこと30分~40分(冬場は50分)で適温に達して風呂に入ります。
高校受験期の冬場。
ろくに勉強しなくても、いつもの通りに、0時を回ってからバランス釜のつまみを種火から点火に戻して追い炊きを始めて、お湯が適温になるまで自室で過ごします。
「お前、火事になったらどうすんだ~!」
の父の荒らしい声と共に、後ろ頭を引っぱたかれて目覚めます。
「う~ん… ん?」
頭を叩かれた痛みなのか、大きな声で起こされた余韻なのかわからない中で目を開けると、自室の空間はなんだか白みがかっています。
「あ…」
「こっち、来い!」
父に首根っこをつかまれながら浴室に行くと、濃い蒸気で浴室全体が霧掛かっている中、浴槽がボコボコと音を立てて泡吹いているのが見えます。
そう、追い炊きをしたまま、机上に突っ伏して眠りこけてしまった挙句の様子が眼前にあります。
今も忘れられない光景とエピソードです。
「お湯が沸きました」
40歳手前の女性がアナウンスして、追い炊きが終了する現在のお風呂。
なんて素晴らしいお風呂でしょう。
伍の湯はここまで。さあ、♨あがりましょう。
*近況ノートに【補足】あります♨
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