一緒に泣いてくれるの?

衣草薫創KunsouKoromogusa

第1編 悪い子

第1話 プロローグ(1. 噂話)

ボチャン ボチャン…


水を足で掻きながら進む私。

靴を脱ぎ捨て、靴下を脱ぎ棄て、長ズボンを捲り、何かを探すように水中を見渡す。

「ここら辺にあると思ったんだけど。あっちかな?」

少し中に入ってさらに奥を見渡す。


「誰!?」


―――・・・


「ねぇねぇ知ってる?湖に溺れた女の子の話。」

「怖い話?怖い話!」

「慌てないの千里。」

「うぅ~聞きたくないよ。怖いよ。」

「茉莉ちゃんは怖がりだなー。」

「怖がらせんじゃないぞー。」

「まぁまぁ、聞いてよ。」

ある一軒家の一室、暗がりの中、ある一人の女の子がライトを光らせる。

この問題児の女の子は何をしでかすのか気が気でないとでも言うように他、四人が身構える。

学校でもよく廊下に立たされている子だ。

普段でもろくなことしをない。

「さぁ、はじめるよ!


それは昔昔の昼間の事。

ボチャン、ボチャンと音を鳴らし、湖へ入っていく女の子がいました。彼女は多くの罪悪感を抱えていたそうです。


あ、ナレーターは男の子です。」

「ナレーターとかいいから。」

「そこ!口を挟まない!」

「イッタァー。」

頭をチョップされた子は顔をしかめやり返そうとする。

が、姉に抑えられやり返すのを断念した。

「今は我慢しろよー。みっちゃん、続きどうぞ。」

「はい!任されました!」

しかめっ面している子はまだ何か言いたそうにしていたが姉の圧で口が開かなかった。

「その女の子は…


女の子はあるペンダントを探す為に裸足で湖の中に入り、水中をあさりました。

ときには転びそうになったり、見つからずに唸ったり、とにかく焦っていたようです。

何故ならばもう夕方。

暗くなり今日中に見つからない事に不安が募っていたようです。

ですが、その女の子はそのペンダントは誰に貰ったのか、どこで買ったのかは覚えていません。

というよりか、知らないのです。

そんなペンダントの行方を追う意味は本人にも分かりません。

それでも探します。

何故ならペンダントが語りかけてくるからです。

『我を探せ。』『我を見つけろ。』

と、ドスの聞いた声で何度も何度も。

ペンダントというのは親指サイズの銀色の雫の形をしている飾りがついているネックレス。

すると突然、足を掴まれた感覚がしたのです。

ゆっくりと足もとを見てみると・・・


おばけだぁーーー!」

「うわぁ~!」

「というのが把田氏の主張です。」

「誰?それ。」

と突っ込むと「ほいっ」と分厚い本を差し出してきた。

「『水の三人主』?こんな分厚い本読んでたのか?どれどれ。」

姉は妹から本を取り上げると妹の「ちょっとなによー。」と言う声を無視してペラペラと本を開き読み始めた。

「『ゆっくりと足元を見ると緑色の手が足を掴んでいた。彼女はそれを河童だと叫び、のたうち…。』これオカルト本じゃねぇか。それにおばけじゃねぇし。」

むぅ~と頬を膨らませるこのオカルト話を語った子はある提案を押しつけた。

「じゃあ、伸江お姉ちゃんがこの続き読んで教えてよ。」

「えぇ~。やだよ。私だって暇じゃないんだから。」

「お酒片手に喋ってるやつが言うなよ。」

姉はさっきから泣きそうな目をしてグスッと鼻を啜る可愛い子を横目にして答える。

「駄目だ。茉莉ちゃん怖がってるだろー。」

「あー!茉莉ちゃん盾にしたー!いけないんだー!」

「みっちゃんしつこいよー。」

姉は問題児と長々と睨めッたする。

「よーし、分かった。でも今日は無しな。茉莉ちゃんが怖がってる。」

「いいの?みっちゃんの言う事聞いて。」

「おうよ!ばっちりこいつを怖がらせてやる!」

「望むところだ!」

張りやう問題児と姉の姿を呆れて見守る他三名であった。

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